こんなに早く結果を出せるものなのか?
2月19日、原巨人と佐々岡カープの練習試合が行われた。2対1で広島が勝利。しかし、佐々岡真司監督は「白星」以上にドライチルーキーの“変貌”を喜んでいたのではないだろうか。
「15日とは別人と言っていい。短期間でこんなに変わるものなのか…」
ネット裏の他球団スコアラーたちも舌を巻いていた。
“別人のように進化”したのは、左腕・黒原拓未(関学大)。15日のシート打撃に登板した際は打者11人に対し、ヒット性の当たりを8本も食らった。それも、5打者連続という不甲斐なさ。通常、新人投手は早めに仕上げていく。実績のない分、アピールしないとオープン戦帯同とはならないからだ。そうした状況からして、二軍降格も囁かれていた。
「1対0でリードしていた6回から4番手としてマウンドに上がり、三者連続三振の驚きのデビューとなりました」(現地記者)
黒原を変えたものがあるとすれば、シート打撃後の17日のブルペン投球だろう。佐々岡監督も見守るなか、右足を高く上げる新フォーム習得に乗り出していた。
チーム関係者がこう続ける。
「黒原が打たれた要因は、ワンパターンだったこと。クイック投球のタイミングを見極められてしまいました。学生時代はクイックを交ぜて、バッターのタイミングを外すのが持ち味でしたが、プロではそれだけでは通用しない。足を高く上げる投球フォームも習得できれば、普通の投げ方、クイックと3種類を投げ分けられます」
足を高く上げるフォームが合っていたのだろう。
思い出されるのが、昨秋のドラフト会議だ。広島は3度目の1位入札でやっと1位選手が決まった。12球団最後の1位指名となったが、黒原は新フォームになじむ器用さもあり、
「指名当初、『リリーフで』と担当スカウトも話していました。キャンプで状態を見てから、先発か中継ぎかを正式に決めると聞いていましたが」(同)
今の黒原なら、先発ローテーション入りも十分に考えられる
背番号24。24番といえば、先発とリリーフの両方で活躍した往年の大野豊氏が思い出される。ちょっと気が早いが、一昨年の森下、昨年の栗林に続いて「3年連続新人王」も見えてきた。残り物には福がある、だ。
(スポーツライター・飯山満)