新生・侍ジャパンの「3月発進」に「本当にやるの?」の声

 栗山英樹氏が前指揮官ではなく、侍ジャパンの代表監督として、北海道日本ハムファイターズの沖縄県・名護キャンプを訪れた。迎え出た新庄剛志監督は、

「ドンドン、(代表チームに)持っていってください!」

 と、侍ジャパンへの選手派遣に全面協力を約束した。このやり取りを受けて囁かれたのは「やっぱりやるんだ」の声。侍ジャパンは3月5、6日にチャイニーズ・タイペイと親善試合を行う。栗山監督のお披露目ともなる同試合が予定通りに行われることを改めて印象づけた。

「2月4日からチケット販売も開始されましたが、『ひょっとしたら中止?』と悲観的な声もありました」(球界関係者)

 だが、新生・栗山ジャパンに対して、こんな見方もされている。

「若手中心に選手を集めると言っていますが、若手しか集められないかも。どの球団も侍ジャパンに協力したい気持ちはありますが、新型コロナの問題、そして、開幕直前にペナントレースとは異なるWBSC(国際野球連盟)公式球を扱うことになりますからね」(同)

 チャイニーズ・タイペイとの試合では「WBSC公式球」の使用がすでに発表されている。ペナントレース公式球はM社製、WBSCはS社製だ。ともにメイド・イン・ジャパンだが、昨夏の東京五輪大会中、「S社のほうが飛距離がやや落ちる」といった代表選手たちの感想も聞かれていた。

 五輪中、それでいつも以上にスイングに力が入りすぎて苦しんだ打者もいれば、変化球の軌道に首を傾げていた投手もいた。

「日本ハム中心の選手招集になりそう。栗山監督も他球団にはあまり無理を言えないでしょうし」(ベテラン記者)

 そんな予想も聞かれた。

 新庄監督は「若い選手が燃える気持ちで奪ってほしい」と、記者団に話していた。たしかに、今の日本ハムには実績のあるベテランがいない。世代交代の真っ只中にあり、むしろ、3月の国際試合は“全国区の選手”を生み出すチャンスになるかもしれない。

 3月の侍ジャパンは日本ハム選手が多く招集されそうだが、この時期にあえて国際試合を組んだ目的は来年3月のWBC本番を見据えてのこと。

 ただ、コロナ感染拡大で延期の懸念もあり、日本ハムの全面協力が水の泡にならないよう祈るばかりだ。

(スポーツライター・飯山満)

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