北京冬季五輪で、健康状態を管理するために中国側から使用が義務付けられている公式アプリのセキュリティーの脆弱性が懸念されている問題。これについて2月3日、松野博一官房長官が使用を最小限にとどめるよう選手らに注意喚起したことを明らかにしたが、《時すでに遅しでは》と心配の声があがっている。
「公式アプリ『MY2022』は、北京冬季五輪で中国を訪れる各国代表団などすべての外国人に出発の14日前までにアプリをダウンロードし、新型コロナウィルスに感染していないか健康状態を毎日記録することが義務付けられています。しかし、アメリカのサイバーセキュリティー専門家らによれば、『このアプリをインストールすることで、悪意のある侵入やウイルスの感染、情報漏えいする可能性がある』と警鐘を鳴らしているんです」(フリージャーナリスト)
1月31日には米連邦捜査局(FBI)もアプリの危険性に懸念を示し、アメリカ選手団には使い捨て端末を使用することを求めていて、同国を含む計7カ国の選手団、約1000人が使い捨てスマートフォンでアプリを使うことが分かっている。
しかし一方、日本選手団には個人スマホの利用に制限は設けられず、新たな通達についても最小限の使用と帰国後のアプリ削除などを求める程度の対策だったことから、ネット上では《選手たちはアプリ入れた状態でバリバリ自分のスマホ使ってるでしょ。今さら注意喚起しても遅いのでは》《「使用最小限」なんて意味ない。インストールしたらもうアウト》《相変わらず日本の対策は遅いし甘い》など厳しい意見が相次いでいる。
「松野官房長官は、2日にスポーツ庁がJOCなどを通じてアプリに対する注意喚起をしたと発言していましたが、もうほとんどの選手たちは自分のスマホにアプリをインストールしてしまったあとでしょう。使用を最小限にとどめと言われても、どこまでが最小限なのかも分かりませんし、マルウェアに感染してしまった場合、アプリを削除しても残り続ける可能性も十分にある。選手たちが何らかの被害に遭わないことを祈るばかりです」(ITライター)
またもや日本のIT後進国ぶりをさらすことにならなければいいが…。
(小林洋三)