キテレツ北京五輪「超監視と徹底隔離」舞台裏【3】インストール厳禁のアプリ

 さらには、IT技術やインターネットを駆使した「検閲」にも余念がない。今回の北京五輪では、出場する選手や報道関係者、観客が必ずスマホにインストールしなければいけないのが「My2022」というスマートフォンアプリだ。これはいわば、関係者向けの案内アプリのようなものなのだが、

「実際には、カナダの研究者らからセキュリティの欠陥が指摘されているように、このアプリには『スマホデータ抜き取り』が危惧されている。私自身も会社から『絶対に個人用のスマホにはインストールするな』と命令されていて、今大会用に支給された新しいスマホを持って来ています」(テレビスタッフ)

 1月25日に報道陣にも公開された選手村には、スパイロボットが常駐しているとの話も。

「コロナ対策で人との接触を避けるため、オーダーした料理が座席の上の天井からロボットハンドで自動的に降りてくる『超ハイテク食堂』が話題になっていますが、選手たちの間では、天井のカメラから選手のスマホ画面が筒抜けになって個人情報が流出しかねないと不安視されている。ある国の関係者は『高性能マイクで会話が盗聴されているかもしれない』と警戒。ウイグルに関する発言は即拘束となりかねません」(テレビスタッフ)

 ウイグル弾圧問題への抗議の声が高まる中での大会とあって、テロ対策も抜かりない。五味氏によれば、

「中国が得意とするのが『人海戦術』。不審な動きがあれば、秘密警察などを総動員して人間の盾で囲み、テロの防止を図るでしょう。中国当局は国内のインターネット全体を『グレートファイアウォール(金の盾)』で見張っていて、習近平やウイグルに関する言葉が飛び交うと監視対象になってしまう。またリアルタイムで町なかを監視しているカメラの顔認証システムに要注意人物として『ウイグル族の顔の特徴』まで登録されているという話もある。こうした監視対象の人たちが街の中心部に出てきた場合、警察官が駆けつけて身柄を拘束し、遠くに連れていくでしょうね」

 あらゆる物事に監視を強める中国当局だが、さすがに選手たちの「夜の営み」については黙認する方向のようだ。

「これまでも五輪のたびに避妊用ゴム製品の配布が話題となっていますが、今大会も運営側は『適切な量のスキンを無料で提供する』と発表していて、選手や関係者が宿泊しているホテルには一部屋に5個ずつ置かれている。コロナは抑え込めても選手たちの旺盛な性のパッションは抑えきれない、ということでしょう」(テレビスタッフ)

 中国でも急拡大するオミクロン株に加え、国際社会の厳しい非難を浴びるウイグル弾圧問題、競技会場での深刻な雪不足と、課題は山積み。前代未聞のキテレツ五輪の最中、思わぬボロが中継されることも十分ありうるのである。

*「週刊アサヒ芸能」2月10日号より

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