コロナ後遺症で「ED」に!? 若者でも無症状でも発症の恐れ

 6月に入り、日本でもようやく新型コロナウイルスのワクチン接種が円滑に進み始めた。とはいえ、感染者数は下げ止まりの状態で、感染後の後遺症に悩まされる人も少なくない。
  
 医療ジャーナリストが語る。

「新型コロナウィルス感染の後遺症として知られるのが、味覚・嗅覚障害や倦怠感、頭痛ですが、最近は脱毛を訴える患者が多い。新型コロナウイルスは、たとえ無症状でも、ごく細い血管(微小血管系)に悪影響を及ぼす可能性があることから、血管内側表面に機能異常が起きて、血液が行き渡らない状態が生じることが分かっています。結果、頭皮はじめ、いたるところが血行障害となり、それが脱毛に結びついているのではないかと考えられています」

 そんななか、今度は伊・ローマ大学の研究者らが医学誌『ANDROLOGY』誌(オンライン版3月20日号)に「コロナになるとED(勃起障害)を引き起こす可能性がある」との研究データを掲載され、医療関係者たちを困惑させている。

 前出のジャーナリストが続ける。

「ローマ大学におけるこの調査は、コロナ禍におけるイタリア人の精神的、社会的、性的健康状態に及ぼす影響を調べるのが目的で、実施されたのはイタリアがロックダウン中にあった昨年4月7日から5月4日までの期間。対象となった6821人は女性4177人、男性2644人で平均年齢32.83歳。このうち、性的に活発だった男性985人から、コロナ感染歴のある25人と感染歴のない75人を抽出して比べると、コロナ感染者のED有病率は28%と、感染していない人の3倍も高かったのです。たしかにリモートにワークになり、パートナーと四六時中過ごすことが増え、メンタル的影響も考えられますが、それにしても感染者の28%がEDを発症するというのは異常な数字と言わざるを得ません。通常、血管に問題が起きると血液が固まりやすくなり、血栓が形成され、血液の供給が遮断されます。そして多くの臓器が損傷を受けることになる。これは下半身の血管も例外ではなく、そこの血流に問題があれば当然EDになる可能性があるということ。つまり、コロナウイルスは後遺症としてEDを引き起こす恐れがあるということです」

 となれば、若年層でも新型コロナウィルスに感染した場合、たとえ無症状でも、後遺症としてEDになる可能性があるというわけだが、

「実際、トルコの泌尿器専門外来クリニック12施設が参加し、作成した『Sex Med』のデータでも、新型コロナ流行前に比べ、パンデミック期にED患者が増加しているというデータがあります。これは、18歳以上の男性患者4855人を対象にしたもので『流行前期』と『パンデミック期』とにわけ、『生殖機能障害』(精索静脈瘤、性腺機能低下症など)と『性機能障害』(ED、早漏など)について調べたもの。結果は生殖機能障害、性機能障害でいずれも、パンデミック期に増加が見られ、特にEDについては6.6%から8.7%に増えています。まだメカニズムは不明ですが、すでに、中国では新型コロナに感染した男性のテストステロン値が低いことも確認されていて、性欲を制御するホルモン値の低下が、性的不能につながることを考えると、やはり、コロナの感染がEDに及ぼす影響は高いと考えていい。改めてこのウィルスの恐ろしさを再確認させられますね」(前出のジャーナリスト)

 特効薬がない以上、ワクチンに頼るしかないが、無症状でも気がついたらED、なんてことにならぬよう、とりあえずは一日も早いワクチン接種を、というところか。
 
(灯倫太郎)

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