徳光和夫「常に長嶋茂雄であらねばいけないという美学」

テリー もう長嶋さんとは長いお付き合いですよね。その中で、影響を受けたと言ったら、どんなことになるんですか。

徳光 いや、テリーちゃん、申し訳ないけど、僕にとって長嶋さんは神様みたいな人で、影響を受けたと言えるほど、僕の中では下に降りてきてないわけですよ。同等にものを言える立場じゃないと言いますか。

テリー ああ、なるほど。

徳光 ただ、もしかすると80になった今でも僕が現役で働けているのは、どんな体調でも常に前向きであるという、長嶋さんの姿勢のおかげかもしれないですね。

テリー ミスターはいつも明るいですしね。

徳光 長嶋さんの80歳の誕生日の時に、親しい人が100人ぐらい集まって、僕がインタビュアーで長嶋さんと対談したんですね。ご存知のように長嶋さんはすでに右半身が不自由で、言葉も明確ではない中でも、とつとつとお話をするという状態だったんですけども。そこで最初に「今いちばんしたいことは何ですか」と質問したら、すぐに「走りたい」とお答えになったんですよ。毎日、一生懸命歩いてるにもかかわらず。だから、もうそう言えるぐらいリハビリに手応えを感じているのかなと思ったわけですね。

テリー 6年ぐらい前のお話ですよね。

徳光 それで、ここはちょっと自慢話になっちゃうんだけども、その時にはもう東京オリンピックが決まってましたから「えっ、長嶋さん、聖火ランナーを狙ってるんですか」って聞いたんですよ。そしたら「ウフフフ」って笑って、否定しなかったんです。実際に「王(貞治)さん、松井(秀喜)さんと一緒に最終ランナーで」というオファーが来たのはその2年後で、そこからまた強烈なリハビリに取り組んだらしいんでありますけれども。

テリー スゴいなぁ。

徳光 この話だけでも、いかに長嶋さんが常に前向きかということが感じ取れると思うんですよ。長嶋さんっていう人は、常に長嶋茂雄であらねばいけないということで、前向きなんですよね。これは前にテリーちゃんと話したかもしれませんけど、ジャイアンツの監督になっても毎日ランニングをして、現役時代の体型を維持するわけですよ。なぜなら胴上げされた時に、体がVサインのVの字にならなければいけないと。

テリー そうか、普通は体がエビ反りというか、ベターッとなっちゃうけど。

徳光 長嶋さんだけですよ、胴上げされた時の体がきちっとVの字になってるのは。腹筋でキュッと足を上げてるわけです。

テリー 胴上げされた時の姿勢まで考えてるんですね。

徳光 それは、常に長嶋茂雄であらねばいけないっていう美学があるんですよね。プロ野球選手である以上、アスリートである以上、体型を維持しなければいけないっていうのが長嶋さんの美学なんです。

テリー 今の新庄(剛志)がちょっとそんな感じですよね。

徳光 そうなんですよ。新庄って、ものすごく長嶋さんに似てるところがあると思うんですよ。新庄のほうが発言がいろいろと飛んだりして、おもしろいところがありますけれども。

テリー いや、ミスターも負けてませんよ(笑)。

徳光 そうですね。だから新庄は、僕はすごくおもしろいなって思ってます。

*(3)につづく

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