巨人のエース菅野智之の出場選手登録が抹消された(5月21日)。腰痛を訴えたためで、原辰徳監督は「重症ではない」と強調していたが、今回の二軍調整は菅野のハートに大きな傷跡を残しそうだ。
「今年の菅野にはストレートで相手バッターをねじ伏せる場面が見られませんでした。シーズン開幕しても調子が上がって来ないというか、真っすぐのスピード、威力が出てこないので、ちょっとイライラしているところもありました」(スポーツ紙記者)
初回からランナーを背負う苦しいピッチングが何度か続いていた。攻守交代で菅野がベンチに帰るとき、宮本和知・総合投手コーチが声をかけるも、それを無視するようにベンチ裏に引っ込んでいくシーンもあった。巨人情報に詳しいプロ野球解説者によれば、不振の原因は「勤続疲労のひと言に尽きる」という。
「昨季は202イニングを投げ、17年は187イニング、16年も183イニング。プロ2年目の14年のみ158イニングですが、それ以外の5年はすべて170イニング以上投げている。勤続疲労でストレートが走らなくなったんです」(プロ野球解説者)
5月15日の阪神戦、菅野は自己ワーストとなる5回3分の2で10失点と大炎上した。「5回で交代」という雰囲気だったが、原辰徳監督はあえて6イニング目のマウンドに立たせた。10失点のうち、4点はその6イニングに失ったもの。原監督は「次登板のために…」と続投の理由を語っていたが、勤続疲労のエースをさらに酷使する必要はなかったはずだ。
「一昨年、金本知憲前監督が藤浪晋太郎を追い込む場面を思い出しました。つるべ打ちにされた後も懲罰的な意味合いで続投させ、それが精神的なショックとなったのかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
菅野は叔父・原監督の指揮官復帰で「自分が」「エースとして」の自覚がよりいっそう強くなったという。叔父の復帰が無言の重圧にもなっていたようだ。
「菅野は日本のエース。疲労回復が遅れれば、今秋のプレミア12、来年の東京五輪のチーム編成にも影響してきます。メジャースカウトも視察に来る予定で、多くの米スカウトが菅野を見たいと言っています」(球界関係者)
菅野自身からメジャー志望の話は出ていないが、叔父の重圧によって”秘めた思い“が爆発…なんてことにならなければいいが。
(スポーツライター・飯山満)