期待値は菅野以上?復活した巨人ドライチ投手が終盤戦の救世主になる!

 今季最後となる甲子園球場での伝統の一戦は、原巨人が制した(9月19日)。勝因は大量7得点を挙げた2回の攻撃だが、ある巨人投手の復活が話題になっていた。7回1失点と好投した菅野智之投手ではない。9回最後のマウンドに上がった桜井俊貴投手だ。

 三者連続の3奪三振。それも、糸井、大山、サンズの阪神打線の中軸相手にである。ネット上では「ただのドライチ投手じゃん?」など、ユーモアを込めた称賛の声も挙げられていた。

「阪神・矢野燿大監督はサンズの調子が落ちてきたことを気にしていました(13打数連続ノーヒット)。でも、サンズに投じた最後の球、外角低めに決めた直球は一級品でした」(ベテラン記者)

 大量リードに守られ、精神的な余裕もあったのだろう。しかし、この桜井が終盤戦における救世主になるかもしれない。

「今季は一軍と二軍を行ったり来たり。二軍戦ではけっこう好投していました。6月13日の楽天戦では7イニングを投げ、無失点。同30日のロッテ戦でも6回無失点。8月13日に昇格し、9月に入ってからは一軍でも1点も取られていません」(同前)

 これまでの桜井はオーバースローで投げ、目を釣り上げていた。その形相から“全力投球”しているのは間違いなかったが、結果には結びつかなかった。キャンプ中、やや肩を下げたスリークオーターにも挑戦していたが、途中でまたオーバースローに戻すなど試行錯誤が続いていた。それが、シーズン中盤以降にはスリークオーターの新投球フォームが定着。チーム関係者は「オーバースローのときは、対戦打者に球種がバレることもあった」と、フォーム改造の目的を伝えていたが、新投球フォームをモノにできなかったシーズン序盤は「ボールをリリースするポイントが早過ぎて、シュート回転していた」という。

「意識してシュート回転するボールを投げているのならともかく、左バッターの内角、右バッターの外角を目掛けて投げたら、シュート回転のボールはみんなド真ん中に来てしまいます。シュート回転しなくなったのが好調の秘訣でしょう」(球界関係者)

 最後にサンズを仕留めた外角球が、成長の証でもあるようだ。

 もともと、落差の大きいカーブには定評があった。直球が進化したことで他の変化球も活きてきたようだ。近く、クローザーのビエイラの復帰昇格も囁かれている。8イニング目を託せるセットアッパーとしてはもちろんだが、ロングリリーフもできるので、不振の先発陣が早いイニングで崩れたときも起用できる。大量得点の大味なゲームのなかで、ひっそりと結果を出した“ドライチ”がキーマンになりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ