政府首脳からまたもや民主党政権批判の声があがった。
菅義偉官房長官は5月15日の記者会見にて、09~12年に連立与党として政権を握った民主党を念頭に、「『日本パッシング(素通り)』ではなく、『ナッシング』とまで言われた状況だった」と批判したもの。前日の14日には安倍晋三首相が自民党麻生派の政治資金パーティーにて「悪夢のような民主党政権が誕生した」と語り、来たる参院選に向けて党内の引き締めを図ったばかりだ。
ネット上ではツイッターで「#悪夢の民主党政権」というハッシュタグをつけた投稿も続出。その一方で自民党に批判的な層からは、これらの言葉に対する反発も出ている。だが民主党が政権を握っていた当時、とあるコンビ芸人が民主党を揶揄するネタを繰り出していたというのだ。芸能ライターが振り返る。
「M-1グランプリ2010にて常識破りの超スロー漫才を披露し、準優勝に輝いた『スリムクラブ』です。彼らが最終決戦で披露した『葬式』は、真栄田賢が面識のない故人の葬式に押しかけ、受付の内間政成と押し問答になるという内容。その終盤でラチのあかない真栄田に対して内間が《なんとかならんかねぇ》と語気を強めると、真栄田が一瞬の間をおいて《民主党ですか?》と返し、会場は爆笑の渦に巻き込まれました。このやり取りで笑いを取れたということ自体、当時の民主党が国民からどう思われていたかの証拠でしょう」
彼ら自身は政権批判をしたかったのではなく、あくまでその時点で受けるネタとして民主党を選んだだけのはず。それが視聴者にも伝わったのか、民主党をネタにしたことに対する批判はほとんど聞かれなかった。ただ、彼らがこのネタを用いたことには、大きな意味があるという。
「番組側が“無印島人(ノーマークしまんちゅ)”とのキャッチフレーズを付けたように、スリムクラブの二人は琉球大学卒の沖縄県出身者。その沖縄では自民党への拒否感が強く、当時の県議会も野党議員のほうが多い状況でした。そんな沖縄出身のスリムクラブが民主党のネタを繰り出したことは、『沖縄県民からさえ見放される民主党』を印象付けたのです」(前出・芸能ライター)
このネタでスリムクラブに政治色が付くことはなく、沖縄県民も準優勝後の二人に「あなた達は沖縄の誇り」との賞賛を送っていた。ただ政治的な意図がないからこそ、この民主党ネタが爆笑を誘ったのかもしれない。