福岡ソフトバンクホークスが逆転優勝に向け、最後の大勝負に出る。9月14日から首位・千葉ロッテとの3連戦が始まるが、ソフトバンクはスクランブル態勢で臨むことになりそうだ。
「千葉ロッテと4位・ソフトバンクのゲーム差は6.5(12日終了時点)。3連戦で逆転できる数字ではありませんが、ソフトバンクが3連勝するようであれば大混戦となります。ソフトバンクにとっては、逆転優勝のラストチャンスでもあります」(ベテラン記者)
そのラストチャンスの3連戦だが、当初の先発は「東浜、千賀、マルティネス」と予想されていた。その大事な初戦を託されるはずだった東浜が二軍降格となった(11日抹消)。
「千賀の前回登板は9月8日。1日前倒ししての中5日の先発で、初戦を託されることになりました」(同前)
それだけではない。第3戦の先発が予想されるマルティネスも中5日での緊急登板となる。東浜は前回登板の7日、4回途中3失点のノックアウトを食らっている。東浜も「次回こそは」の気持ちを強く持っていたはずだが、工藤公康監督は「千賀で行く」と決めた。
「東浜に一抹の不安があったのではなく、千賀でいかなければダメだと思ったようです。勝っても負けても、千賀ならチームは納得できる、と。エースと心中する覚悟です」(球界関係者)
千賀、マルティネスの2人の先発を前倒しするのだから、首位・千葉ロッテとの最終決戦と捉えているのだろう。しかし、批判的な声もないわけではない。
「千賀の復帰登板が千葉ロッテ戦でした(7月6日)。3回途中10失点と振るいませんでした。ロッテ戦を苦手にしている雰囲気もあります」(プロ野球解説者)
また、東浜を二軍に降格させたことで先発投手が足らなくなってしまった。第2戦にファームから昇格させた投手を抜てきするのか、それとも、救援にまわっているスチュワート、あるいは、9日のウエスタン中日戦で先発した杉山一樹をぶつけてくるのか…。仮に千賀で初戦を落とした場合、連敗という危険性もある。
「ソフトバンクが千葉ロッテと対戦している間、2位オリックスは3位楽天との3連戦が組まれています。2、3位が星の潰し合いをしている間、千葉ロッテが混戦レースを飛び出すか、それとも、ソフトバンクが肉薄してくるのか」(前出・ベテラン記者)
スクランブル態勢ではなく、「東浜、千賀、マルティネス」で行くべきかもしれない。いや、エースで初戦を取ったときの大きさは何物にも代えがたい。工藤監督の大バクチは「吉」と出るか、それとも…。
(スポーツライター・飯山満)