ソフトバンク、ドラフトで「育成選手大量指名」でもオフに「支配下大補強」へ

 福岡ソフトバンクホークスは先のドラフトで大量14人の育成選手を指名したが、支配下で「2022年シーズンの弱点」を補ったのは、たった2人だけだ。

「故障者が出たため、打線は143試合で121通り。正捕手の甲斐拓也も今季は打撃不振で、二番手捕手の力量不足が取りざたされました。野手陣に関しては外国人選手、FA、トレードなどで補うようです」(地元紙記者)

 ドラフトで補強すると思われたのが、即戦力の投手だ。

 予期せぬ事態は投手陣にも起きていた。クローザーの森唯斗が不振で二軍落ちを経験した。 左ヒジにメスを入れた昨年4月以降、ピリッとしなかったが、藤本博史監督はセットアッパーのモイネロをクローザーにコンバートした。モイネロにつなぐ新・継投は機能しているように見えたが、

「左の中継ぎが嘉弥真新也だけになってしまいました。左の中継ぎタイプのピッチャーを新たに獲るか、モイネロに代わる新クローザーを探さないと来季も苦しい」

 との声が多く聞かれた。

 森は先発で再スタートするという。そのため、ソフトバンクは「2位以下で社会人、大学生の投手を多めに指名する」と予想されていたのだが、支配下で獲得した投手は3人、うち一人は高校生だった。

「2位の日本製鉄鹿島・大津亮介投手(右投左打)は制球力が高く、球種も豊富です。千賀滉大の米球界挑戦が決定的となり、その穴を埋めるために獲得した先発候補だと聞いています」(前出・同)

 5位の左腕、松本晴(亜細亜大)がカギを握っている。嘉弥真の負担を減らす活躍をしてくれたら、「クローザー・モイネロ」のまま23年シーズンに突入できるが、大学3年の春にトミー・ジョン手術を受けており、連投はまだ厳しいだろう。

「大津はリリーフの適性も秘めています」(アマチュア球界要人)

 大津、松本が“プロの壁”にぶつかった場合、チームの台所事情は火の車となるだろう。育成をさらに重視した四軍制もけっこうだが、一軍の投手層が厚くなっていない。ソフトバンクは外国人選手、FA、トレードでオフの主役となりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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