ソフトバンクが最も地味な藤本博史監督を決断したウラ事情

 福岡ソフトバンクホークスが10月29日、藤本博史2軍監督を昇格させ、1軍監督に就任することを発表した。かなり地味めな印象もあるが、“小久保政権への繋ぎ役”との認識は捨てたほうが良さそうだ。「長期政権も!」の声も聞こえてきた。

「柳田悠岐を入団時から知り、現在売り出し中の若手・リチャードも指導してきました。世代交代、若手の底上げを再建テーマに掲げるチームには打ってつけの人物です」(地元紙記者)

 南海時代も知る“ホークス一筋の男”なのだが、チーム関係者にその人物像を聞くと、必ず返ってくるのが「几帳面」「熱心」の言葉だ。

「打撃指導では自らバッティングピッチャーを務め、1時間でも投げ続けています。途中、選手の打ち方がおかしくなればその場で注意し、本職のバッティングピッチャーにも引けを取らないタフネスぶりです」(チーム関係者)

 1軍の打撃担当コーチだけではなく、2軍、3軍の指導も任されてきた。球場入りはいつも一番を争うほど。無遅刻無欠勤のマジメさで、選手個々の特徴も手帳にまとめているそうだ。

「コワモテで、グループで行動するタイプではありません。でも、いったん喋り出すと止まらなくなるタイプ」(同前)

 柳田やリチャードといった長距離タイプが「藤本教室」から羽ばたいていったが、現役時代の藤本選手は右打ちが得意で、試合展開や配球を読んでバットを振るタイプだった。失礼ながら、現在の体型からは想像できないが、俊敏な二塁手で鳴らした時代もある。攻守ともに考えてプレーをする知性派で、「ソフトバンクの攻撃スタイルも変わるのではないか?」と、現役時代を知る他球団のコーチたちも警戒していた。

 藤本新監督に課された最優先事項は、若手の底上げ。しかし、右打ちの藤本コーチから長距離砲が羽ばたいていったように、自身の野球観を押しつけることはしない。ファーム指導者として、選手個々の長所を伸ばすことをいちばんに考えてきた。

「情に厚い人。若手育成が最優先でもベテランを切り捨てることはしません。両方を活かす野球をするはず」(球界関係者)

 この時期、プロ野球界は新監督の人事が話題になる。ソフトバンクは時代に逆行するように、もっとも地味な人選を行った。しかし、もっともチームと選手のことを知り尽くした指導者を選んだとも言える。ファーム指導者を長く務めた分、フロントが目指すチーム像も知り尽くしている。長期政権が予想されるのはそのためだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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