ソフトバンク工藤監督が渡米中に実現させていた「日米ビッグ会談」

 福岡ソフトバンクホークス・工藤公康監督の今回の渡米はちょっと意味深だ。

 工藤監督は12月のオフ中、米国トレーニングセンターなどを訪ね、自己研鑽をしているのは有名な話。一部メディアでは、故障からの復帰を目指すデニス・サファテ投手のもとを訪ねたとも伝えられたが、一方で「極秘会談」にも臨んでいた。2020年からエンゼルスを指揮するジョー・マドン監督とのトップ会談だ。それも、1時間以上にわたって、「采配」について語り合ったという。

「メディアが企画した会談ではありません。工藤監督のほうから『会いたい』と申し込み、現地有力者に時間と場所を調整してもらって実現したのです」(チーム関係者)

 マドン監督は16年シーズンにシカゴ・カブスを世界一に導いた名将だ。「会いたい」と言っても、そう簡単に面会できる人ではない。だが、「快諾した」ということは、ホークスを2年連続日本一に導いた工藤監督の手腕をマドン監督も評価していたのだろう。

「工藤監督が質問し、マドン監督が答える形式となりました。来季66歳になる円熟期のマドン監督の話に、工藤監督は聞き入っていました」(同前)

 気になるのは、帰国後の工藤監督だ。チームスタッフらにマドン監督との会談の成果を聞かれたそうだが、「まあ、考えるよりも行動して…」「選手のことをジッと見守り続けることも大事だし」と答えただけ。メジャーリーグの名将との貴重な時間を過ごしたのに、会談の中身がこんな月並みなものに終わるとは思えない。あえて詳細を明かさなかったのだろう。

「大谷翔平の話題にも触れられました。勤勉さ、無理をしがちな日本人のマジメすぎる性格について、マドン監督が工藤監督に質問したと思われます」(同前)

 また、マドン監督は右肘のトミー・ジョン手術からの復帰を目指す大谷のお目付役として、同手術の経験者で、故障投手の再生にも定評のあるミッキー・キャラウェイ前ニューヨークメッツ監督を投手コーチに迎えている。「トミー・ジョン手術後、投手は投球フォームを下半身主導に改造しなければならない」と訴えてもいて、科学的トレーニングに詳しい工藤監督は、故障明けのピッチャーの調整についても話し合いをしたのではないだろうか。

「そういえば、かつてホークスの孫正義オーナーが球界に参入する際、『ワールドシリーズ覇者と日本シリーズ覇者の両チームが真の世界一を決める試合を』と、夢を語っていました」(ベテラン記者)

 日米のチャンピオンチームの指揮官同士の会談は、孫オーナーが描いた「夢を実現させる第一歩」にもなるかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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