中国ではいま、爆発的ブームを呼んでいる”日本発“の商品がある。それが「JK制服」と呼ばれる日本の女子高校生風の制服だというのだ。
現地の流行に詳しいライターが語る。
「昨年4月、中国の大手ECサイト『タオバオ』で、あるJK制服専門店が『温柔一刀(ウェンロウイーダオ/優しい一刀という意味)』というJK制服のスカートを予約販売したところ、わずか20分で30万件の注文が殺到。急遽販売を中止したという事件が大きく報道されるなど、とにかくここ数年の『JK制服』人気はすごいの一言。一般的な制服でも3カ月、4カ月待ちは当たり前で、なかには商品発注まで3年待ちという人気商品もあるようです」
中国では、このJK制服や中国の伝統的衣装・漢服などの人気ファッション・スタイルを「三坑」と呼ぶそうだが、その意味は「穴にハマるとじゃぶじゃぶお金を使う」なのだとか。
とはいえ、日本で「JKファッション」が大流行したのは90年代のこと。なぜ、30年の時を経た今、中国でブームになっているのだろうか。前出のライターはその理由を、「中国の若者たちのジャージ文化に対する反発では」と分析し、こう続ける。
「中国では制服のことを『校服』といいますが、使用されているのは基本的にジャージです。ジャージには夏服と冬服があり、夏服で1セット(上下)約2000円程度、冬服でも4000円程度と懐に優しく、かつ機能的で洗濯もしやすいというメリットも大きかった。ただ、ファッションへの興味や関心が高くなる頃の若者には『ダサい』『不格好』と強い抵抗感があったようです」
そうしたところに入ってきたのが、中国で放映されブームを呼んだ、日本の80年代漫画やアニメ文化だったという。
「中国でもマンガやアニメの展示会が開催されるようになり、同時にスマホやSNS、ECなどが普及したことにより、90年代以降生まれの若者たちが、こぞってアイドルのコスチュームや日本のドラマに登場する制服を買い求めるようになったのです」(前出のライター)
ちなみに、中国で販売されるJK制服は「校供」(日本製)、「日制」(中国のブランド工場で作成された日本ブランドの制服)、「国牌」(中国ブランドもの)の3種類に大別されるが、一番人気で高価なのが、中古だが本物の日本の学校制服である「校供」。やはり、メイドインジャパンは現地の若者たちの間でも、垂涎の的だそうだ。
これらのファッションに身を包んだ女性たちで溢れる、北京の若者の街・三里屯には連日、彼女たちを見ようとにわかカメラマンが訪れるというが、さて、90年代に青春時代を送った日本の元JKたちは、そんな光景をどう見るのだろうか。
(灯倫太郎)
*写真はイメージ