立ち食いそばチェーン「名代富士そば」を展開するダイタンホールディングス(HD)の子会社・ダイタンディッシュに懲戒解雇された労働組合の2人が解雇無効を訴えて争っていた裁判で、東京地裁は2人の解雇は無効として未払い賃金318万円をそれぞれに支払うよう命じていたことが明らかとなった。
さらに同チェーンの運営会社のひとつである「ダイタンミール」が雇用調整助成金の一部を不正受給していたことから、厚生労働省から約300万円の返還命令が出ていたことも判明。ネット上では呆れと驚きの声が上がっている。
「富士そばでは昨年11月に『富士そば労働組合』に加盟する店長ら18人が、未払い残業代など約2億5000万円を求める労働審判を申し立て、役員の指示によって残業した勤務記録が改ざんされ、従業員が勤務した日を雇用調整助成金の対象となる『特別休暇』に書き換えるよう指示されたと訴えていたました。そんな中、ダイタンディッシュの係長で、この組合の委員長と書記長の2人が今年の1月29日付で懲戒解雇されていたのです」(社会部記者)
同社は「未払いの残業代請求の労働審判を有利にするため、業務報告書などの勤務記録を事後的に改ざん・捏造(ねつぞう)」と「会社側の反証を困難にするため、会社のシステムにある勤怠データを改ざんした」などを理由に挙げているが、今回の裁判では懲戒解雇の理由として正当とは認められなかったという。さらには、同じく富士そば運営会社の「ダイタンミール」も厚労省の調査で退社が決まった従業員の1人が有給休暇を取得していたのに、会社の命令で「特別休暇」に書き換え虚偽の申請をしていたことが分かり、1カ月分の雇調金全額と違約金を合わせた約300万円の返還を命じられたのだった。
「これにネット上では《労組幹部や内部告発者等の会社に楯突く者をあれこれ理由付けて懲戒解雇にし、追放しようとするのはブラック企業の典型》《数年前までホワイト企業の筆頭ってイメージだったけど、まさかブラック中のブラックだったとは…》《従業員の残業代を支払わず、むしろ特別休暇を取っていたと記録を改ざんして助成金を不正受給して、訴えた労組の2人を解雇にするって悪行にも程がある》など驚きの声が相次いでいます。かつて、富士そばはアルバイトにもボーナスを出すことでも知られ、運営会社ダイタングループの創業者である丹道夫会長はブラック企業に対して『ちゃんと待遇をよくしてあげれば、みんな働くし、自分も楽ができる。どうしてそんなことをするんだろうね。ああいう企業の経営方針はよくわからない』と語るなどホワイト企業のイメージが強かっただけに、今回の裁判結果や厚労省の虚偽認定は世間に大きなショックを与えました」(経済ライター)
解雇無効についてダイタンHD側は異議を申し立て、引き続き裁判で争う構えだが、イメージダウンを払拭できるか。