菅首相退陣で株価急上昇!マーケットから歓迎される次期総理は誰だ?

 株式市場は菅首相の退陣を待望していた。それを裏付けるのが現在の株価だ。首相が退陣を表明した9月3日、2万8626.48円からスタートした株価は、正午ごろに退陣が明らかになると急上昇。7日には一時3万円を超えた。4日間で1000円以上も上がったことになる。

「理由は退陣理由と同じで、コロナ対策の手詰まりと東京オリパラが政権浮揚につながらなかったからです。となれば、もしまた菅さんが首相にでもなれば今の停滞感がそのまま続くことになり、『買い材料』は見当たりませんからね。まずは指揮官を替えることが必要。マーケットではそう考えたということです」(経済ジャーナリスト)

 マーケットの趨勢は世論の反映でもある。というのも、首相が突如退陣した場合、通常は株価は振るわないものだからだ。例えば安倍前首相が病気を理由に辞めた20年8月28日は326円安だったし、民主党の鳩山由紀夫氏が辞めた10年6月2日も108円安だった。

 一方、世間が政権に停滞感を感じた場合は事情は逆で、近年では民主党政権で野田佳彦氏が党首討論で解散に言及した時は株価が上がった。世の中には民主党政権末期の不透明感が漂って嫌気がさし、選挙の結果、再び自民党に政権が移ったのは皆が知るところだ。

 ではマーケットは次の首相に誰を期待しているかといえば、高市早苗氏、岸田文雄氏などの名前が上がっているようだ。

「安倍元首相は高市氏が同じ保守的政治信条ということもあって、総裁選を左右する大物の中では早くも高市氏の支援を表明しています。経済政策的にもアベノミクスの踏襲を謳っており、となれば、あのアベノミクス時の株価急上昇が期待されるかも、というわけです。一方の岸田氏は8月26日の立候補会見で2時間も熱弁を展開。その中で『令和版所得倍増計画』の実行を明言しました。もちろんこれは、岸田氏が所属する宏池会を立ち上げた池田勇人元首相が昭和35年に行った『所得倍増計画』を念頭に置いたもので、いずれにしても高株価がもたらされるかもというわけです」(前出・ジャーナリスト)

 もっとも、高市氏は「金融所得税」の増税も言っていて、投資家にとっては素直に喜べない政策も盛り込まれている。ただ、こういった話で盛り上がる辺り、いかに菅政権への期待が枯渇していたかが分かるというものだ。

(猫間滋)

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