Amazonフリードライバーの労組結成に同情の声が出た「過酷な配達環境」

 Amazonの荷物を配送するフリーランスのドライバー10人が、契約や労働環境の改善を求めて労働組合を結成した。13日の記者会見では過酷な労働の実態が語られた。

「労組を結成したドライバーは、いずれもAmazonから配達を委託された運送業者や、さらにその下請けと業務委託契約を結んで配達している個人事業主。ただ、現場ではAmazonが提供するアプリで配達先や労働時間を管理されており、実態は雇用された労働者と同じであるとして、業務委託から雇用契約に見直して残業代の支払いなどを求めています。あるドライバーは荷物1個当たり170円だった報酬を1日1万8000円へ変更を求められ、それに応じると1日当たりの荷物がどんどん増加。およそ200個の荷物を配らなくてはならなくなり、毎日13時間勤務が続いているにもかかわらず、ガソリン代などの経費を引くと1時間あたりの収入は最低賃金を下回るといいます」(社会部記者)

 健康や生活に重大な影響が出ているとの訴えにネット上では《これは「形式上は業務委託契約だけど、労働者のように働かせている」パターン。報酬は正しく支払われるべき》《デリバリー需要は爆発的に増えているのに配達員の待遇は改善されず、負担ばかりが大きくなりすぎている。配達員にはもっとお金を払ってあげてほしい》《個人事業主は何の保証もボーナスも残業代もないもんな。それで、従業員と同じ働きを求められるのはさすがにかわいそう》など同情の声が多く見られた。

「今年4月には、アメリカのAmazonでも配送センターで働く従業員が初となる労組を結成して大きな話題となりました。コロナ禍の在宅需要によって配達する荷物は急増する一方で、人手不足によるドライバーの過酷な労働環境への不満が高まっています。特に日本では受取人不在による再配達がドライバーの大きな負担となっていて、再配達の有料化が議論にもなっていますが、ドライバーが無理なく働ける環境をAmazonや委託する運送業者は作っていく必要があるのではないかと思います」(フリージャーナリスト)

 配達員がいなければ荷物は届けられないが、なかなか労働環境は改善されないのが実情だ。

(小林洋三)

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