「資本家の犬」暴言にも内閣支持率最高で高笑い!?参院選前に政治は不毛な人気取りに

 高笑いが止まらない——。5月末に報道各社が行った世論調査に、岸田首相はそんな思いではないか。

 内閣支持率は最高が産経新聞の69%で7割にも及び、最低でも毎日新聞の53%で半数を上回った。コロナの新規感染者数が2万人を超えた第6波の2月には支持率が沈んだものの、以降の3、4、5月と右肩上がりで、夏の参院選を前にまさに盤石といった模様だ。

「項目別に見るとコロナとウクライナへの対応が評価されています。共に“外敵”の問題なので、経済政策の内政面が忘れ去られている感がありますね。特に物価高はヨーロッパなどに比べて日本の上昇はまだ緩やか。『悪い円高』問題もあって、打撃として響いてくるのは今後といったところもタイミングに救われているように思えます」(全国紙記者)

 では、現場の政治はどうかと見ると、選挙前にアピールに余念がない。5月31日には参院で補正予算が成立したが、岸田首相は雇用調整助成金の9月までの延長を認めた。「なぜ9月に?」と時期の根拠が不明瞭との批判の声があるが、これはむしろ「選挙後まで」という魂胆が見え見え。大阪でも吉村洋文知事が「物価対策」名目で18歳以下の130万人に1万円のギフトカードを配ると言いだしたが、これも同じ。「物価対策で子供?」とも思うが、単なるバラマキなのだから根拠を問う方がバカらしいとも言える。

 より露骨だったのが、参院予算委員会の場だという。

「31日の本会議で採決が行われる前日の30日の予算委員会に与野党で7人の質問者が立ちましたが、全員が今度の参院選の改選者でした。NHKの国会中継が入る場なので、各党『顔と名前を売ってこい』ということなのでしょうが、これじゃまるで『政見放送』です」(同)

 国会は議論の場のはずなのだが、そのテイをなしていないようなのだ。

 ではホクホクの岸田首相はというと、ここしばらくは記者からの受けがよくないのだという。

「政権発足時は、前の菅首相が言葉足らずで説明責任を果たしていないという批判を浴びたことで積極的に記者の対応に努めていましたが、首相になって日が深まるにつれて『質問打ち切り』が目立つようになりました。そのせいもあって、27日の国会でも国民民主の玉木雄一郎代表から、岸田首相は何でも『検討する』と言うばかりということで、『遣唐使』ならぬ『検討使』だと皮肉られていましたね」(同)

 1日の衆院予算委員会では、れいわ新選組の大石あきこ議員から「資本家の犬」「財務省の犬」と面罵されてもグッとこらえた岸田首相。どうもある時点から、藪蛇になるくらいなら何もしないで「検討します」としておいた方が得策と気が付いたようで、少なくとも参院選までは「聞くだけの力」をフルに発揮するのだろう。

(猫間滋)

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