社会人になってからも恋多き女の「オトコ爆食い」はノンストップ。出るわ、出るわ、誇るかのように書き綴っているのだ。
政経塾の外部研修先のOL時代に出会った川崎の男、米国連邦議会下院議員パット・シュローダーの事務所(ワシントンDC)で働く3カ月前に付き合った4歳年下の男、世界銀行に勤めている4歳年上の男、テレビ業界で働く婚約者がいた男‥‥。
華麗なる恋愛遍歴の中でも、とびきりの甘い思い出として挙げたのは、ワイン通の恋人との情事である。
ある雑誌のインタビューを受けて、お酒にまつわる話を聞かれた際に、
〈「お酒の思い出といえば、地中海で、海の見えるホテルの部屋で、飲みィのやりィのやりまくったときですね」〉
と、リップサービスをして大いにウケたことがあった、とエッセイの中で改めて明かしている。それをきっかけに、ヴァカンスで過ごしたカンヌの話に花が咲く。
〈それでウフフフフ‥‥。朝、寝起きに熱いシャワーを浴びながら、彼が選んでくれた極上の赤ワインをいきなり飲み始める。バスローブのまま。
そして飲みぃの‥‥で、ベッドの上から海が見えていて、「ここは地中海。湘南じゃないの。地中海」ってつぶやきながら、それでまた飲みィの‥‥。
ぐでんぐでんになるまでそういうことをやり続けて、飽きてきたらボーッと二人してテレビを見て〉
「そういうこと」というのは、当然ながら飲みだけではなく、愛の交歓も含まれるのだろう。疲れ果てるまで求め合うとは、かなりの肉食ぶりがうかがえる。
数日間過ごしたカンヌでは、
〈映画『ナイン・ハーフ』でミッキー・ロークとキム・ベイシンガーがやったこともマネしてみたかった〉
と、名シーンを再現したかったようだが、実行したのは片岡義男の小説の世界。ヒロインをイメージしながら情事に夢中になっていたようだ。
〈ルームサービスを食べるときも当然、ベッドで裸の上にブランケットを巻いたまま。
うっかりした男だったら、「お前、そんな行儀悪いことやめろよ。寝巻着ろよ」なんていいかねないけど、そうしたら大ゲンカだ。
それからもちろん、彼がすばらしいテクニックを持っていることは言うまでもない。トコトン、快楽の境地におぼれられる相手じゃないと、話にならないわけ〉
読んでいるこちらが恥ずかしくなるほどの、あけすけな行為の回顧。よほど相性がいいパートナーだったのか。取材を進めるうちに、ある永田町関係者からこんな証言を聞いた。
「高市氏がアメリカで仕事をしている時に、大手新聞社ワシントン支局の社員と交際していたのは周知の事実でした。彼はワイン好きでしたね」
同一人物なのかはさておき、エッセイを刊行した高市氏は当時、女性評論家としてテレビ出演や雑誌連載、講演活動など活動の幅を広げていた。新進オピニオンリーダーとも呼ばれる中、なぜそこまで自身の恋愛経験を伝えたかったのだろうか。これが影響して初選挙で落選したとは思いたくないが‥‥。
*「週刊アサヒ芸能」9月2日号より。(4)につづく