メキシカンリーグの「マリアチス・デ・グアダラハラ」にドラフト1位指名された日本人投手が最多勝、防御率のタイトル争いを繰り広げ、チームはリーグ独走の首位――。
一読では理解できない、英字の野球情報が飛び込んできた。その大活躍している日本人投手の名前は、「Masaru Nakamura」。NPBの日本ハムに2019年まで在籍していた中村勝投手のことである。
「メキシコ現地では、大谷以上に有名な日本人投手のようですよ。長く、しなるような腕の振りが美しく、人気選手だそうです。150キロ近い速球と多彩な変化球が武器だと紹介されています」(在米ライター)
元日本ハムの中村であることは間違いなさそうだが、その当時はそんなに球速は出なかったはず。2017年のトミー・ジョン手術も癒え、「ドラフト1位、初登板初勝利」(10年)という秘めた才能が、ようやく開花したということだろうか。
また、現地でも1位指名を受けたようだが、これはメキシコ球界特有のルールで、外国人選手専用のドラフト会議があるそうだ。外国人選手もドラフト指名し、交渉権を獲得するシステムになっている。
「メジャーリーグの傘下に入っているチームもあれば、提携を結び、中南米出身の選手を預かっているチームもあります。こうしたメジャーリーグとの関係以外から好選手を見つけられるのかどうかは、メキシコの各球団の渉外担当者の腕の見せどころ」(同前)
マリアチス・デ・グアダラハラのゼネラルマネージャーは、日本ハム、阪神に在籍した元投手のルイス・メンドーサ氏。その縁でメキシコ行きが決まった。WBC、プレミア12大会など国際大会におけるメキシコの好成績からして、中村の復活はホンモノと見ていいだろう。
「オリンピック・ブレイク中、NPBの各球団は補強を仕掛けてくると思われます。でも、一連のコロナ禍で外国人選手の入国、就労ビザがどうなるのか、不透明なまま。元日本ハムの中村のNPB帰還はあり得ない話ではありません」(球界関係者)
国内独立リーグで再起を目指す元NPB投手の調査も並行して行われているそうだ。ペナントレース後半戦は、「復帰」がキーワードになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)