コロナ禍でフードデリバリーが大人気となっている韓国で、利用者によるカスタマーハラスメント(カスハラ)が大きな問題となっているという。
「6月30日、韓国のオンラインコミュニティに、デリバリーで注文したキムチチムの中に“軍手”が入っていたという書き込みが画像付きで投稿されました。投稿者によれば、『干し豆腐のように見えたが、よく見たら軍手だった』といい、『軍手がなぜここに入っているのか。最初はおいしく食べていたのに、全部吐いてしまった』と、怒りをあらわにしたのです」(韓国事情に詳しいライター)
この投稿に対してキムチチムをデリバリーした店の店主は「軍手を入れることは絶対にあり得ない」と猛反論。そもそも画像にある軍手は店では使用しておらず、「防犯カメラで確認しても問題なかった」「何度も衛生検閲が行われたが問題なかった」と主張した。そして「仮にそんなことがあったなら、店に連絡をして文句を言ってもいいはずなのに、店には連絡すらなかった」と投稿者の行動に疑問を呈したのだった。
「店主の反論を受けて、韓国ネットユーザーからも《食べている途中で見つけたわりには豆腐が綺麗に並びすぎている》《嫌がらせでもない限りあり得ないが、ネットに晒されるリスクを抱えてまで軍手を入れたりしないんじゃないか》《最近は大げさに騒いだり、嘘を付く客も多いから投稿をすぐに信じてはいけない》といった擁護の声も相次いでいます。というのも、6月にはデリバリーで販売した『エビフライの3本のうち1本の色がおかしかった』と店に抗議した客が返金を受けた後も度重なる抗議を続け、そのたびに対応していた店主が脳卒中で倒れ死亡する騒動があり、韓国ではこうしたカスハラが社会的問題となっているからです。まだ、軍手がどのタイミングで商品に混入したか、そもそも混入していたのかどうか分かりませんが、ネット上では投稿者によるイタズラの可能性が高いと見る向きも多いようです」(ネットウオッチャー)
これを対岸の火事と安心してはならない。危機管理のコンサルタント会社であるエス・ピー・ネットワークが今年3月、日本国内における「カスタマーハラスメント実態調査」を“企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1030人”に実施したところ、「新型コロナの影響でカスハラが増えている」と回答した人が21.6%となり、「コロナ禍の影響ではないが増えていると感じる」と回答した人を合わせると、35.8%の人がカスハラが増えていると感じていることが明らかとなっている。
店や企業側へのいきすぎた批判には注意が必要だ。
(小林洋三)