米「武漢コロナ発生源」再調査の裏に、中国情報機関ナンバー2の亡命説 

 アメリカのバイデン大統領が、今年8月までに新型コロナウイルスの発生源について再調査するよう情報当局に指示したことは既に広く報道されたところだ。

「中国・武漢のウイルス研究所の職員が、19年11月に病院での治療が必要なほどに健康を害していた」という情報が、アメリカの諜報活動で明らかになっていたというのがその理由。だからアメリカでは新型コロナウイルスの「実験室漏出論」が高まっているのだが、その「諜報活動」の中身について、中国情報機関No.2がもたらした情報が根拠としてあるのではないかという、本当だったらかなり核心的な指摘が持ち上がって、情報の真否に国際的な注目が高まっているのだ。

「6月16日、1989年の天安門事件以来アメリカに亡命している元中国外交官だった男性が、ツイッターで中国国家安全部のNo.2だった董経緯・副部長が現在アメリカに亡命中であるとの情報をツイートしたんです。そして亡命した際、『実験室漏出論』を裏付ける確かな情報をアメリカに持ち出したので、それを根拠にしてバイデンが再調査に乗り出したというのです」(週刊誌記者)

 実は史上最高レベルの中国の高官がアメリカに亡命して、アメリカ国防情報局と3カ月間提携していたという話はアメリカのメディアに取り上げられていた。それが誰か関係者の間では様々な憶測が広がっていたのだが、そこへ来てのこの元外交官のツイートだったので、情報の“ウラが取れた”かたちになっている。

 本当であれば世界中がひっくり返るような重大情報だ。だからこのツイートは瞬く間にネットで拡散・シェアされた。中国の司法・公安を司る中央法政委員会は、情報を否定するメッセージをSNSで発したのだが、

「中国当局は『董経緯副部長はスパイ清算懇談会を招集して司会を務めた』と亡命を否定し、中国国内で活動している“アリバイ”を出してきたのですが、その董副部長が顔を出したとされる会議の写真は公開されなかったので、アリバイを裏付ける材料はないままです。しかも、中国国内最大のネット検索エンジンの百度(バイドゥ)では董副部長の情報が削除され、所属である(だった)『中国国家安全部』についての検索情報も削除されているので、『これではまるで中国が亡命を認めたようなものだ』とさらにネットでは大騒ぎになっています」(前出・記者)

 ちなみに、中国からアメリカに亡命した人物としては、1985年に亡命した中国国家安全部北米情報部主任が過去最高位とされる。ところが今回はさらにその上の組織のNo.2だ。思えばバイデン大統領が再調査に乗り出したことで、トランプ前大統領は「だから言っていただろう」と鬼の首を取ったように語り、そのトランプの下で国務長官を務めていたポンペオ氏は今でも「高さ100フィート(約3メートル)」にも及ぶ証拠があるとうそぶいている。

 彼らの自信とバイデン政権での大きな方向転換の裏にはやはり何かあるのかもしれない。

(猫間滋)

ライフ