いよいよ山開きが来月に迫った富士山。コロナ禍でも多くの登山客で賑わうことが予想されているが、実は休火山ではなく現役の活火山。781年以降、なんと17回も噴火しており、最後の宝永大噴火(1707年)から314年が経過。専門家の間では「いつ噴火してもおかしくない」とも言われており、もし実際に噴火した場合、その被害は計り知れない。
ちなみに山梨、静岡、神奈川各県などが参加する富士山火山防災対策協議会は、噴火時の被害範囲などを示した『富士山ハザードマップ』を策定しているが、それを今年17年ぶりに改訂。従来のものより被害範囲や規模が拡大されている。
これについて「前回の宝永大噴火はかなり規模の大きいものでしたが、最新の知見から次の噴火はこれを上回る可能性が高いとされたためです」と説明するのは、災害問題に詳しいジャーナリスト。
新しいハザードマップでは溶岩流の到達時間が早まり、山梨県富士吉田市や静岡県富士宮市の中心部には2時間以内という予測も。なかでも初詣スポットとして人気のある富士宮市内の浅間神社には最短14分で到達するとのシミュレーション結果も出ている。
また、溶岩流の到達範囲も以前周辺15市町から27市町村とほぼ倍増。新たに神奈川県の小田原市や相模原市、静岡市清水区なども加えられている。さらに火山灰の量も増える見込みで、房総半島を含む千葉県東部から埼玉県南部を覆う首都圏一帯は10センチ程度に及ぶと言われている。
「降灰により大規模な通信障害が発生することが予想されます。そうなればスマホなどで災害時に欠かせないリアルタイムでの情報が入手できなくなり、人的被害が拡大する恐れもあります」(前出・ジャーナリスト)
仮に前回と同規模の噴火が起きた場合、内閣府は首都圏を中心に2.5兆円規模の被害が発生すると試算。ただし、被害の拡大がすでに予想されている以上、経済への打撃もより深刻になることは避けられそうにない。