警察庁がSNSをAIで解析して、犯罪に関わる人物周辺の相関図を作成するシステムの導入を決めたという。
「例えば振り込め詐欺のような特殊詐欺においては、SNSで受け子の募集や指示が行われる『犯罪インフラ』となっているため、各都道府県警が公式アカウントから直接、警告を行ってアカウントの凍結や削除するなど対策に努めてきました。でも逆に言えば、SNSを辿れば捜査のための人物データ取得のための鉱脈ともなり得るわけで、それをシステム化して活用しようということでしょう」(週刊誌記者)
まずは年内に警視庁など5都府県で運用を開始し、全国の警察に広げる方針だという。
社会のIT化が進むにつれて、ネットを介した犯罪も増える中、警察はそれに合わせる形でネット犯罪への対策とビッグデータを活用すべく改良を重ねてきた。警視庁では、09年4月に刑事部の中に捜査支援分析センター(SSBC)を創設、顔認証や防犯カメラ、SNSの活用や分析など、“現代的”な捜査手法を導入している。
「いわゆるデカ(刑事)といった人たちだけではなく、企業財務やコンピューター技術に長けた人物を特別警察官として採用し、その陣容はあらゆる分野に長けた混成のプロ集団となっています。2019年に悠仁さまが通う中学校に不法侵入した男やハロウィンに渋谷で軽トラックを横転させて逮捕された犯人ら4人を特定するなどで活躍したことで知られています。もちろん警視庁は東京都警察ですが、17年に神奈川県で座間9人殺害事件が起きた時には、管轄をまたいでSSBCが投入されました」(前出・記者)
もともとはアメリカFBIが猟奇的な犯罪の犯人像を推定する際に用いていて、既に一般的に知られているプロファイリングの捜査手法は、日本では1994年に警察庁の科学警察研究所(科警研)が研究を開始して、実用では00年に北海道警が専門部署を設置しているが、警視庁の場合はこのSSBCが担当係に当たる。
もしかしたら今後は、特殊詐欺の現場では非IT化が進むかも。
(猫間滋)