コロナ地獄「国民憤激五輪」強行の悪夢(1)医療関係者にタダ働き要請

 新型コロナウイルス終息の見通しが立たない中、いよいよ7月23日予定の東京五輪開会式が近づいてきた。「開催ありき」で中止を表明できない首長たちへの風当たりは強まるばかりだが、このままでは取り返しのつかない地獄絵図も想定されるのである。

「五輪中止」を求める世論の声が高まっている。ところが、国のトップ・菅義偉総理(72)、主催都市の長・小池百合子都知事(68)からその方向性が語られることはない。ばかりか、4月9日には大会組織委員会が日本看護協会に対して「看護師500人を確保してほしい」と要請し、大いなる顰蹙を買う始末となった。

 コロナ対応で医療現場が逼迫して危機的状況が続く中での「ボランティア募集」だ。ネット上で「ツイッターデモ」として行われた「#看護師の五輪派遣は困ります」のハッシュタグが、40万ツイートを超える大反響を呼んでいる。

 このデモを実施した愛知県医労連の担当者が話す。

「医療現場の深刻な実態を伝える必要があると判断してSNSで発信しました。現場の看護師からは『派遣するなら大阪に』『五輪なんてやっている場合ではない』『ボランティアとは信じられない』といった批判の声が相次いでいます」

 また、菅総理が看護師要請について語った「現在休まれている方もたくさんいると聞いている」との発言も、あまりに無神経だった。

 愛知県医労連の担当者が続ける。

「潜在看護師の多くは、それぞれの事情があって働けないのです。臨床から離れてブランクもあるため、五輪で対応を求められるのは厳しい」

 看護師派遣要請への批判が渦巻く中、大会組織委員会は厚顔無恥にも、同じくボランティアでの「スポーツドクター200人の募集」もスタートさせたのだ。

 医療関係者への相次ぐ要望がエスカレートしている状況に、「インターパーク倉持呼吸器内科」の倉持仁院長が苦言を呈する。

「組織に依頼するなら去年から行っておくべきことです。開催の3カ月前になって募集している場合ではありません。(五輪実施予定の)7月から8月にかけて医療現場が優先すべきは、患者さんの診療とワクチンの接種。現状を把握する認知能力が著しく低下していると言わざるをえませんね。コロナ感染対策、五輪開催の可否ともに民意を丁寧に拾い上げて、国民の健康、生命を最優先に物事は決定されるべきです」

 至極正論である。なぜ「無謀すぎる五輪」をあくまで強行しようとするのだろうか。

 招致以来、五輪の開催準備を進めてきた都庁関係者が実情を明かす。

「菅総理や小池都知事もバカではない。国民の大半が開催を望んでいないことは当然、分かっています。その上で、最初に『やめよう』と言いだすことができないだけなんですよ」

 よもや、何とやらである。

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