コロナ地獄「国民憤激五輪」強行の悪夢(2)選手村クラスターの可能性

 その背景には「責任逃れの発想」があるという。

「彼らが最も避けたいのは五輪中止を決定した後、開催予定期間に感染者数が激減して『やっぱり開催できたじゃないか』『大損した責任をどう取ってくれるのか』と政財界から責め立てられること。その責任を回避すべく、自らの口で中止を切り出したくないのです」(都庁関係者)

 一方でIOC(国際オリンピック委員会)の判断を待っても、そちらの良心には期待できそうもない。

「五輪開催による資金確保が至上命題であるIOCのトーマス・バッハ会長(67)が、日本のコロナ状況を配慮して五輪中止を決める可能性は絶対にありません。ハナから中止の議論自体、IOCと日本側はしていないのですから。誰も開催中止時の莫大な違約金の額すら把握できていないのが現状なのです」(政府関係者)

 上辺だけのコロナ対策で、このまま五輪開催に突き進もうというのだ。その違和感から「五輪強行に疑念を抱くようになった」と打ち明ける、大会組織委関係者が引き取って語る。

「小池都知事や菅総理、橋本聖子大会組織委員会会長(56)のホンネは『コロナと五輪は別問題』なんです。当然、開催により感染爆発を招かずに済む保証なんてありません。それでも、五輪中止で自分たちの支持率が落ちると思っているから、ハッキリとは言わないんです。しかし、中途半端に『安全安心の大会に』と濁しているせいで、かえって国民に『コロナより五輪が大事なのか』と憤りを増幅させている」

 不安を煽って、国民の感情を逆なでするばかり。その極め付きが、5月の「緊急事態宣言」延長である。

「五輪をやりたいがために3度目の緊急事態宣言を発出し、これまた愚の骨頂で、バッハ会長の来日に合わせて期間を5月11日までに設定したものの、当然ながら見通しの甘さで延長となった。ゴールデンウイーク中に観光地が混雑していたのも『茶番に付き合ってられるか』という一般市民からのメッセージですよ」(大会組織委関係者)

 大会に関わる身内までもが、そうホンネを吐き捨てるほどだ。五輪強行の副作用は計り知れない。

「どの大会でも問題行動を起こすアスリートは少なからずいます。選手村への隔離に我慢できず、外国人選手が盛り場でドンチャン騒ぎするのは見慣れた光景です。出先でコロナに感染し、選手村でクラスターが発生すれば、その時点で大会の継続は危ぶまれるでしょう」(スポーツ紙デスク)

 仮に選手村で陽性者が出た場合、どのような対応が必要となるのか。倉持院長が語る。

「迅速なPCRおよびCT検査、そして隔離に経過観察と、必要医療を速やかに受けられる体制が求められます。また重症化した場合には、本国への搬送が可能かなど、事前に選手たちとの契約が必要ではないでしょうか」

 はたして、不測の事態も想定した準備が整っての開催となるというのか。

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