はたして、日本はロシアが指定する「非友好国」に選ばれるのか……。
ロシア通信が、プーチン大統領が非友好国の選定に関する大統領令に署名したと伝えたのは4月26日のこと。さらに同日には、外務省のザハロワ情報局長が国営テレビ番組に出演。敵対的な行動を取る「非友好国」リストに米国が含まれていると発表、そのニュースが世界を駆け抜けた。
ザハロワ氏は米国をリストに入れた理由を、米国の対ロシア制裁などを踏まえ、「米国の完全に非友好的な行為がこうした事態を招いた」と主張。リスト入りした国に対して、今後在ロシア大使館の職員数などを制限するとしている。
国際ジャーナリストが語る。
「今回、プーチン氏が突然『非友好国』リスト作成を関係機関に命じた背景には、チェコとの関係悪化があることは明らか。チェコは国内で7年前に起きた弾薬庫爆発事件にロシアの情報機関が関与していたとして、4月17日に駐在ロシア外交官18人の追放を発表しました。それに対し、ロシアも翌18日にはチェコ外交官20人の追放を通告する、報復措置に出ました。実は、ロシアの外交官を追放する動きは、バルト3国やスロバキアにも広がっているため、ロシアとしては『非友好国』リストという形で先手を打ち、追随する可能性がある国々をけん制したというわけです」
とはいえ、6月には米露首脳会談が予定されてるなかで、突然米国を対象国リストに入れてくるあたり、あいかわらずプーチン大統領の強気な外交姿勢が伺えるが、今のところ日本が「非友好国」に指定されるか否か、といった情報は伝わってこない。
ただ、報道を受けSNS上では案の定、《そもそも、ロシアに友好国なんてあるの?》《日本も、いっそ『非友好国』選定されたら工作員も減るし、逆に好都合じゃん》《北方領土問題を含め、もともと価値観を共有できない国だから、選定されても割り切るべき!》といった批判的なコメントであふれた。前出の国際ジャーナリストが続ける。
「安倍政権時代には、20数回にわたりプーチンと首脳会談を行い、なんとか『2島返還+α(プラス・アルファ)』の方針で話が進みかけてました。ところが、その後、交渉は暗礁に乗り上げたままになっています。ただ、一説には、ロシア人が日本に対して抱いている感情と、プーチン氏が思う感情とでは若干温度差があるとも言われ、その理由がプーチン大統領の愛犬である秋田犬『ゆめ』の存在が大きいという説もあります。『ゆめ』は、2012年に、東日本大震災の復興支援の返礼として秋田県からプーチン氏宛に送られた犬ですが、プーチン氏は大の愛犬家で、とりわけ『ゆめ』は可愛くて仕方がないと言われ、その証拠に2018年には自身のカレンダーの表紙にも『ゆめ』との2ショットを選んでいます。つまり、『ゆめ』はそのくらいプーチン氏にとって大切な存在だということ。愛犬を理由に政治的判断が左右するとは考えづらいですが、この先何が起こるかわかりませんよ」
厄介な隣国との厄介な駆け引きは、まだまだ続きそうだ。
(灯倫太郎)