好調でしゃべり過ぎた?レッドソックス澤村拓一の「日米比較論」が波紋

 ボストンレッドソックスの澤村拓一投手がオリオールズとのオープン戦に登板し(3月24日)走者を一人も許さない好投を見せた。無四球はメジャーリーグ移籍後初、イニング跨ぎ、「中1日」のテストも兼ねての登板であり、ここで結果を出したことでクローザー抜擢の可能性も一気に高まってきた。

「この日の登板が4度目。前回3度目で初めて無四球投球を見せ、そして今回はイニング跨ぎ、中1日の体力テストもクリアしました。澤村に対する評価が確実に高まっています」(在米ライター)

 球団地元紙ザ・リパブリカンによれば、アレックス・コーラ監督は、イニング跨ぎのテストを重要視していたとし、「シーズン中もこういう場面で投げてもらうことがある。これまでよりずっと巧く投げていた」と“合格点”を与えていた。

 また、澤村の制球難はすでにレッドソックスを応援する地元テレビ・ラジオ局で“イジリネタ”となっており、ボールカウントがコールされる度に実況アナウンサーも絶叫していた。しかし、好投したオリオールズ戦では素直に「次も頼むゼ!」とエールを送っていた。好プレーには拍手を送り、失策には容赦なくブーイング……。これがアメリカ・スタイルだが、澤村は球団地元ラジオ局WEEIに出演し、興味深いことも語っていた(12日)。

「日本のコーチはいつも打者を(四球で)歩かせるなと言う。そこがしっくり来なかった。ここでは、投手コーチはミーティングで歩かせてもいい。ただ、とにかくダメージを最小限に抑えようと。それこそ、求めていたこと」

 日米の野球環境の違いについて聞かれ、そう答えたという。いま、尻上がりに調子を上げているが、要因は日本とは対象的な指導にあるというわけだ。そして、澤村はこう続けた。

「ここでは弱点ではなく良いところを見ようとする。でも、日本はアメリカとは違って弱点を矯正し、強みにしようとする。ここでは弱点なんか気にせず…」

 過去、短所を指摘する日本のスポーツ指導法が問題視されたこともあった。アメリカ流が澤村に適していることは間違いないようだ。もちろん、特定の球団やコーチを指してのコメントではない。日本時代はさほど饒舌なほうではなかった。喋りすぎは良くないが、渡米後は性格も明るくなったようである。

(スポーツライター・飯山満)

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