「Uber」のロゴを黒塗りにする理由とは?配達員が明かす“覆面ウーバー”の正体

 公道での当て逃げや信号無視、首都高暴走など、これまで配達員の危険運転がたびたびニュースで報じられてきたウーバーイーツ。最近では逆に、ウーバー配達員に対する煽り運転や幅寄せなど、嫌がらせの標的になるケースが少なくないという。

 そんなこともあってか、最近、街でウーバーリュックのロゴを黒く塗りつぶしている配達員が目につくようになった。SNS上では《事故を起こした際のカモフラージュのため?》《運転マナーの悪さを指摘されないようにする偽装工作か》といった憶測の声もあるが…。

「当初は、知り合いに見られた際に『ウーバーのバイトじゃない』と言い訳できるように、バッグにテープを貼るという人が多かったようですが、最近は店の前で待機しているだけで白い目で見られることもあって、『ウーバーの看板を背負いたくない』とカモフラージュしているケースもあるようです」(デリバリー事情に詳しい経済ジャーナリスト)

 こうした“偽装疑惑”がささやかれている一方で、現役のウーバー配達員Aさんは、これを否定。みずからもロゴを「黒塗り」にしていると明かしてこう続ける。

「ウーバーだけではなかなか稼げないので2月からは出前館とかけもちでやっています。出前館も自由にシフトが組めて、1件あたりの報酬はウーバーより高いんです。出前館の仕事を請け負う時は、とくに車両の変更などは必要なく、ただ出前館の帽子をかぶればOK。届け先の人によけいな誤解を生まないためにウーバーのロゴは黒く塗ってつぶしています。ウーバー1本の時は1日で1万円そこそこしか働けなかったのですが、兼業にしてから1万5000円稼げる日も…。自分のような“兼業ドライバー”は今後さらに増えていくと思いますよ」

 出前館はお昼と夕方からのピークタイムしか配達の依頼がこないため、それ以外の時間をウーバー配達員の仕事にあてているという。さらに近年は、ウーバー以外にも新たなフードデリバリーサービスが参入してきたことで、兼業配達員の数が急増しているのだとか。

「関東の『menu』、大阪の『DiDi Food』、広島の『Wolt』などなど、各地でフードデリバリーが誕生しており、どこも配達員の確保に必死。ある意味、争奪戦ですよ。配達員を紹介したら10000円という友達紹介キャンペーンを実施しているサービスもあります。大半が履歴書不要で面接もなく、バッグを購入してオンラインで登録を済ませれば、その日から仕事ができるとあって、若者を中心にニーズが拡大しています」(前出・ジャーナリスト)

 ウーバーのバッグについて、現在は配達員が購入する形を取っているが、なかにはデポジットと引き換えにバッグを借りているという古参の配達員も少なからずいる。

「やはりセンターから借りているバッグでほかのフードデリバリーを掛け持ちするとなると、うしろめたさがつきまとうもの。ロゴを隠したくなる気持ちは理解できますし、一方で、『ネットで販売されているバッグの中でも、やはりウーバーの正規品が一番』との声もよく聞きます。“覆面配達員”が増えているのは、バッグの品質のよさも理由のひとつではないでしょうか」(前出・ジャーナリスト)

 3月に入ってからメディアで配達員の「報酬3割下落」が伝えられたウーバーイーツ。配達員も収入確保のためになりふり構っていられないようだ。

(灯倫太郎)

マネー