6年連続でミシュランに選出された東京・西早稲田の人気ラーメン店「らぁ麺やまぐち」店主・山口裕史氏のTwitterが注目を集めたのは3月1日のこと。いわゆる“意識高い系”といわれるラーメンのトッピングの定番で、レアな色味と食感で知られる低温調理チャーシューについて苦言を呈し、ラーメンファンからは驚きの声があがっている。
山口氏はツイッターで「知識の無い低温豚チャーシューホントやめて下さい」と、かなり赤みの強いチャーシューの画像を添付。「一回何かあったらラーメン業界のみならず豚肉の低温調理自体が禁止になるよ」と怒りをにじませ、「意識高い系じゃなくて知識高い系にしましょうよ」と訴えたのだった。
このチャーシューは密閉した袋の中に肉を入れ、60℃程度のお湯に浸す低温調理で作るもので、肉がしっとりジューシーに仕上がり、中心部が鮮烈な赤色をしていることから見栄えも良く、SNSの投稿でも非常に人気となっている。それだけにネット上では、《やっぱりレアチャーシューってヤバいやつもあるのか…》《この前食べたラーメンのレアチャーがほぼ生に感じたけど、あれアウトだったのかも》《ちゃんと火が通ってない豚肉なんて食中毒確定やん》などのコメントが数多く寄せられている。
「厚生労働省の『食品、添加物等の規格基準』によれば、豚肉は中心部の温度が63℃で30 分間以上加熱するよう示されています。が、ラーメン店の場合は知識の浅いアルバイトが調理を担当することもあり、中心部までしっかり加熱処理されているのかという疑問はあります。海外では、低温調理をするための資格が必要なところもあるくらいですからね。これまで、ラーメン店のレアチャーシューで食中毒が発生したという報告はありませんが、しっかりと加熱処理をしたチャーシューでも、ウェルシュ菌を原因とする食中毒がこれまで何件も発生しています。規格基準を満たさないレアチャーシューが提供され続ければ、2011年に『焼肉酒家えびす』で死者4名を出した食中毒事件のようなことが起こり、牛の生レバーの提供が禁止されたようにレアチャーシュー自体が法規制の対象になりかねません」(グルメライター)
山口氏の言うように、見た目よりもまずは安全な調理を徹底してもらいたいものだ。
(小林洋三)
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