2月22日、「洋服の青山」を展開する紳士服大手の青山商事は、昨年12月から受け付けていた希望退職の応募人数が募集の400人を大幅に上回る609人だったことを明らかにし、新型コロナウイルスで大打撃を受けるアパレル業界にさらに絶望感が漂っている。
「同社はコロナの感染拡大によるテレワークの推進によってビジネススーツの需要が急減したことにで、業績が大幅に悪化。昨年4月〜12月の最終損益は過去最大となる約181億の赤字に転落しており、通期では290億円以上の赤字になることが予想されています。『洋服の青山』は22年3月末までに160店舗を閉店させることを発表しており、さらに24年3月末までには約400店舗の売り場面積を縮小するなど非常に厳しい状況にあります」(経済ライター)
そのため、青山商事は40歳〜63歳で勤続5年以上の正社員・無期契約社員を対象に希望退職者を募集してきたが、想定の1.5倍の応募者が殺到。対象者は再就職が決して簡単ではない年齢だったためにネット上では、《希望退職者の数がアパレル業界のヤバさを物語っている》など驚きの声が出ているのだ。
「希望退職者の応募が募集を上回ることは決して珍しいことではありませんが、1.5倍というのはさすがに多いですね。アパレルの中でも特に紳士服業界は、ここ数年クールビズなどビジネスウェアのカジュアル化が進んでいることにより、顕著に売上が落ち込んでいました。そこにコロナの到来でさらなる大打撃を受けているわけですが、今後コロナが落ち着いたとしてもテレワークへのシフトは確実に進んでいくでしょうし、ビジネススーツの需要はさらに縮小する可能性が高い。関係者の多くが肌で感じているということでしょう」(前出・経済ライター)
長い冬の時代を迎えた紳士服業界に春は訪れるのか。
(小林洋三)
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