阪神先発陣が相次いで離脱、それでも藤浪晋太郎の「開幕ローテ入り」に暗雲

 今年の阪神は、藤浪晋太郎の決断次第だろう。2月17日の左腕・高橋遥人の故障離脱に続き、開幕投手の筆頭候補だった西勇輝もぜんそくの治療のため、23日にキャンプを離脱することになった。

「高橋は開幕戦には間に合わないようです。西の症状については詳しい情報も入っていませんが、大事を取って開幕ローテーションから外し、シーズン途中からということも十分に考えられます」(在阪記者)

 西に関しては、復帰時期も不明瞭なだけに、矢野燿大監督もヤキモキしているはず。それと同時にクローズアップされたのが、先発ローテーションへの復帰を目指す藤浪の今後だ。どうやら、「高橋と西の代わりに藤浪を先発枠に入れればいい」という、単純な話にはならないようだ。

「高橋が開幕戦に間に合わないとなれば、左の先発はチェン・ウェインだけ。チェンを先発で使うのは間違いありませんが、そうなると、慎重に中継ぎ投手を人選しなければなりません」(球界関係者)

 計算の立つ中継ぎ投手を挙げるとすれば、岩貞と岩崎の名前が出てくる。両投手とも左投手であり、実績のある右の中継ぎは前ソフトバンクの加治屋蓮だけとなる。

 戦力的には左投手に偏った中継ぎ陣の状態と合わせて、こんな情報も聞かれた。

「チェンの調子が上がってきません。いや、正確に言えば、“MLB式”が染みついていて、まだ対応に苦慮しているようです」(前出・球界関係者)

 この“MLB式”とは、ピッチャーの完全分業制のこと。日本でも先発、中継ぎ、クローザーの役割分担が確立されているが、試合の流れなどで交代のタイミングは曖昧になっている。とくに、指名打者制のないセ・リーグでは次イニングの打順でピッチャーが打席に立つ際に「あえて続投」という場面も少なくない。

「チェンのブルペン投球を見ていると、キャンプ中盤になっても、80球程度の投げ込みしかしません。終盤には直球の威力も落ちてきて…」(前出・球界関係者)

 こうした状況を聞かされると、ますます中継ぎ投手が重要となってくる。そこで、囁かれているのが、タフネス右腕・藤浪のリリーバー専念論だ。今の藤浪は先発以外の登板を考えていないようだが、「チームの優勝」が掛かっているとなれば、話は別。守護神・スアレスにしても、2年続けて活躍できる保証はない。

「矢野監督は藤浪に対し、何も言っていません。ワインドアップ投法に戻したことについてもしかり。気持ちよく調整してもらうことを優先しているのかもしれません」(前出・在阪記者)

 高橋の復帰時期が遅れることになれば、投手陣の配置転換は必至だ。昨季、リリーフ登板し、160キロ超えの直球を投げ込んだイメージもまだ残っているだけに、藤浪が右のリリーバーとして存在感を発揮しそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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