台中企業連合の軍門に下った“日の丸液晶”JDI崩壊の根本原因

 事実上の“日の丸液晶”の崩壊だ。
 
 官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)が主導し、ソニー、東芝、日立の中小型ディスプレイ事業を統合して誕生したJDI(ジャパンディスプレイ)が4月12日、台湾・中国の企業連合Suwaコンソーシアムから最大800億円の金融支援を受けると発表。これによりINCJが筆頭株主ではなくなり、JDIは台湾・中国企業連合の傘下となる。
 
「“日の丸液晶連合”として2012年に発足したJDIによる製品は、アップルやファーウェイ、中国スマートフォンメーカーに採用され、14年には早々に東証一部上場も果たしました。しかしアップルがiPhoneⅩで有機ELディスプレイを採用するや、液晶が主体だったJDIは完全に流れに乗り遅れ、5期連続で赤字に陥ってしまったのです。INCJもこれまで4000億円余りの支援をしてきましたが、もう日本国内ではどうにもならない状況となってしまったのです」(経済評論家)

 JDIが台中連合の傘下になるとの報道に、投資家などが集まるSNSでは《もうさすがにJDIのJを外そうか》《これで完全にチャイナディスプレイ》《中国企業と価格競争になったら日本は勝てない》《低迷している日本企業を合併させてジャパン〇〇にするのはもう辞めた方がいい》など、落胆の声が広がっている。
 
「JDIはお役所が絡んでいるため、当初から製品開発に時間がかかると言われ、加えて無下に人員削減ができないことが問題視されており、こうした肥満体質が低迷を招いたとも言えます。実は今回、支援に動いた台中連合の一つである中国の嘉実基金管理(ハーベストファンドマネジメント)は中国政府からの承認を得ておらず、場合によっては連合から抜ける可能性もあると言われている。もし台中連合内で分裂が起きるようなことがあれば、JDIはさらなる苦境に立たされることになるのです」(同前)

 アベノミクスの成長戦略が聞いて呆れる。

(小林洋三)
                             

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