EV車参入のソニーが宇宙事業にも!自宅PCで人工衛星を操作できる時代に

 1月6〜7日にアメリカのラスベガスで開催された最先端技術の見本市の「CES 2022」では、世界中から2300以上の企業が参加、ロボット、ドローン、メタバース、自動運転からAI、フードテック、NFT、スペース(宇宙)までのあらゆる最新技術が紹介されたが、その中でもソニーはEVのプロトタイプ「VISION-S 02」を公開。そのための事業会社を立ち上げてEVに本格進出すると発表して注目を集めた。

 一方、EVの陰に隠れてそれほど話題にならなかったものもあった。ソニーは人工衛星も出展していたのだが、その全体像が次第に分かり始めている。

「1月13日に『CES 2022』にも展示された人工衛星の模型が報道陣に公開され、事業の中身や進捗状況が報告されたのです。それによると、プロジェクトの名前は『STAR SPHERE(スタースフィア)』。社内で17年にプランが持ち上がり、20年5月に正式に組織が発足。ソニー単独ではなくJAXAと東大とによるオープンイノベーション型で開発を進めてきたそうです」(経済ジャーナリスト)

 最初にプランが持ち上がった時は話が草の根で広がり、以前は「宇宙感動体験事業」というプロジェクト名だったという。

 衛星自体はびっくりするほど小さく、33センチ×20センチ×10センチの長方形の箱のような形。これに2枚のソーラーパネルが付いている。そして衛星にはソニーが誇る高性能の4Kカメラとレンズが搭載され、実用化された場合、誰もがパソコンなどでカメラを動かして好きな動画や静止画が撮影できるという。

 つまり前澤さんのように宇宙に行かずとも、地球を俯瞰したり月を眺めたり、はたまた遥か彼方の宇宙空間を眺めやったりと、目線だけなら宇宙にいるような気分を味わえるというわけだ。カメラを内蔵する「ミッション部」の開発と遠隔操作のソフトウェア、全体のシステムはソニーが担当。「バス部」と呼ばれる電源やエンジンの推進系は東大が、既に実績のあるJAXAが関連技術や事業開発の支援を行った。

「人工衛星は22年の10〜12月ころに打ち上げ、2〜3カ月ほどで初期運用を安定させて、23年の春にはもうサービスをスタートさせる予定で計画しているそうです。利用料についてはこれからですが、高すぎず安すぎずといった辺りとか」(同)

 最近、新たな宇宙ビジネスが続々と登場する中、映像から参入するあたりがソニーらしい。将来はそこに音楽をからめ、アニメやメタバースの活用も考えているという。

(猫間滋)

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