コロナ禍の「火葬義務化」が国際問題に!?「スリランカでは宗教弾圧の声も…」

 新型コロナウイルスにより亡くなった人の数は、全世界で約240万人(21年2月中旬時点)。海外では宗教上の理由から土葬を行う国のほうが多いが、そんな国でもコロナが死因とされた場合は火葬となることが多い。なかには国が強制しているケースもあるほどだ。

 そのひとつがスリランカ。インドの南にある日本と同じ仏教国だが、住民の約17%は土葬派のイスラム教徒やキリスト教徒。だが、同国は昨年4月からコロナで亡くなった場合は、宗教を問わず火葬を義務づけている。

 昨年12月、同国政府は新型コロナで死亡した現地在住の英国籍の男性に対し、遺族が反対していたにもかかわらず火葬を実施。海外ではこのニュースが大きく報じられ、イスラム社会から反発の声が上がった。英国最大のイスラム系団体MCB(英国ムスリム評議会)はスリランカ政府に猛抗議。人権無視にあたると国連人権理事会(UNHRC)に申し立てを行っている。

「WHOはコロナで亡くなった場合でも土葬・火葬の両方を認めています。土葬が一般的な欧米諸国でも遺族の意向を無視した火葬はしておらず、非難されても仕方ない」

 そう指摘するのは、海外のコロナ事情に詳しいジャーナリスト。ただし、これは単なる埋葬方法の違いよる問題だけではないという。

「宗教問題です。スリランカでは2019年4月に同時多発テロが起きています。イスラム過激派組織の犯行で、国内では反イスラムの世論が高まっていました。そのため、感染防止策に見せかけた政府の宗教弾圧との声も上がっています」(前出・ジャーナリスト)

 だが、埋葬方法の99%が火葬の日本も他人事ではない。ガイドラインは火葬を前提としたもので、そもそもコロナで亡くなった場合は遺族との対面が難しく、病院から火葬場に直行となるケースがほとんどだ。

 日本で暮らすイスラム教徒は推定30万人。特に家族が海外に住んでいる場合、連絡や確認の不備から気づいたときは火葬場で焼かれた後ですでに骨だけの状態だった、なんて可能性も十分ありうる。

 宗教弾圧ではなくても一歩間違えば世界中から非難される危険性もあるのだ。

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