コロナ禍で自宅時間が増え、快適環境が整ったことで、冬場からこの時期にはあまり見かけることのなかったゴキブリが急増しているという。
都内にある害虫駆除会社では、昨年冬からゴキブリの駆除依頼が増え始め、今年の2~3月は、依頼が2倍になったという。
「通常、家に棲みつくのはクロゴキブリという種類なんですが、今、圧倒的に多いのがチャバネゴキブリなんです。チャバネは一般家庭には少なく、年間を通して比較的気温が暖かいビルや飲食店などで多く見られる種類で、クロゴキブリに比べて卵から成虫になるのが早い。やはり、自宅時間が増えたことで、奴らにとっても住みやすい環境になり、通常あまり見かけないチャバネが増えたと考えられます」(害虫駆除会社スタッフ)
実は、ここ数年、チャバネには殺虫剤の効かない耐性を持ったタイプも登場、それが世界的に問題になっているというのだ。
「殺虫剤というのは、それに含まれる毒性でゴキブリを殺す、というものですが、その毒に耐性を持ったチャバネゴキブリが世界各地で現れているんです。で、そんな厄介なゴキブリたちが生き残り、子孫を残していると言われます。アメリカでは2019年に昆虫学者のマイケル・シャーフ氏が、あるチャバネゴキブリの親から子への、一世代で遺伝される耐性を研究。親を1とした場合、子に受け継がれると耐性が4~6に上昇する、という研究結果を発表しています。それが事実だとしたら、いくら殺虫剤を浴びせても死なない、ホラー映画に登場するようなゴキブリが現れる可能性もあるということです」(前出のスタッフ)
いやはや、いくらやっつけても向かってくる無敵のゴキブリの姿など想像したくもないが、ゴキブリはサルモネラ菌やO-157などの病原体を運び役になることも知られている。となれば、やはり見つけ次第、駆除するしかない。では、どうしたらいいのだろうか。
「もちろん、大半は殺虫剤で仕留められるはずですが、効果がない場合、お勧めしたいのが台所洗剤です。というのも、ゴキブリを含め、多くの昆虫は胸や腹の節にある気門という小さな穴から空気を吸い、体表面に張り出しや毛で気門に水が入るのを防いでいます。ですから、そこに粘性のある洗剤を流せば、気門が封鎖されてしまうため、窒息死してしまいます。これは、台所洗剤だけでなく、片栗粉や小麦粉などをお湯に溶かしたドロドロしたものでも同様。部屋がヌルヌルになり、後片付けが面倒になりますが、その点を除けば応急措置としては効果的なので、試してみてはいかがでしょうか」(前出のスタッフ)
とはいえ、これはゴキブリが現れた場合の対処策。まずは掃除を徹底するなどして家の中に入れないよう心がけることが先決だ。
「ゴキブリは玄関ドアや、バルコニーのガラス戸、あるいは網戸の隙間などから侵入してくるため、そのあたりをきちんと塞ぐこと。また、生ゴミは出たらすぐに捨て、とにかく水回りは常に清潔に保つことです。駆除の前にまずはゴキブリを出さないことを心がける。それが最大の防御法と言えるでしょう」(前出のスタッフ)
人類登場のはるか昔、2億5000万年前から地球上に生息してきたゴキブリとの、長きにわたる闘いはまだまだ続きそうだ。
(灯倫太郎)