巨人キャンプ第3クールの最中の2月13日、激震が走った。同日の一軍キャンプ地・宮崎市は雨天、室内の「ひなた木の花ドーム」での練習となったが、そこで“歴史的快挙の前兆”が見られたという。
高卒ルーキー・秋広優人内野手(18=二松学舎大付高)の一軍スタートだけではなく、「開幕スタメン」もあるかもしれない。
「ウォーミングアップ後、いきなり、報道陣シャットアウトとなったんです。投内連携プレーを行うとのことで、サインプレーの流出を防ぐためでしょう」(取材記者)
驚いたのは、再び報道陣に練習光景が公開されたときのこと。赤マル急上昇中の秋広がファーストミットを持って、守備練習をこなしていたのだ。それも、一塁に入った選手は秋広だけ。前日まで、岡本和真と一緒に三塁守備に着いていたのにもかかわらずだ。
「原監督がファーストミットを手渡したそうです。球場入りした後、後藤孝志野手チーフコーチがファーストミットを持っていて、まず、原監督に渡しました。原監督はキャッチボールを始め、『監督がキャッチボールするなんて珍しいな。いつ以来だろう?』なんて周囲も眺めていました。その後、『おーい』と秋広を呼び寄せ、ファーストミットを左手から外し、秋広に持たせました」(前出・取材記者)
秋広も淡々とそれを受け取ったという。後藤コーチの仕種もそうだが、この日から一塁守備に入ることは秋広に通達されていたのだろう。原監督は「秋広の一塁守備」について聞かれると、「バッティングがいいからね」と報道陣に返したそうだ。
紅白戦2試合で7打数5安打。高卒の新人野手といえば、木製バットへの適応に戸惑うものだが、秋広には全くそれがない。また、原監督が選手の打撃練習を視察する際、樽見金典スコアラーらがタブレットを片手にお供をするのだが、その樽見氏も「社会人・大卒1位ルーキーに匹敵する」と、スイング精度の高さを絶賛していた。
「一塁の練習をさせたということは、一軍戦で使うつもりがあるからでしょう。新外国人選手の来日も遅れており、開幕には間に合いそうもないとの情報もありますので、この転向には原監督の期待の大きさが見てとれます」(関係者)
秋広の一塁守備は、高校時代にも経験している。また、ヘルメットを外して、二の腕のあたりで顔の汗を拭う仕種が「大谷翔平に似ている」との声も聞かれた。
このまま順調に一軍キャンプに帯同することが大前提だが、高卒野手の開幕スタメンとなると、巨人では1959年の王貞治氏以来。5位指名の秋広が、ゴジラ松井や坂本勇人も成し得なかった“快挙”を見せてくれるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)