PCR検査費用にスマホ代…「コロナ関連費用」を確定申告で取り戻すには?

 いよいよ、2月16日から確定申告がスタートする。今年はコロナ禍で収入や支出が大幅に変化した人も少なくないはず。となれば、当然、確定申告が重要な意味を持ってくる。

「昨年は、全国民に10万円の『特定定額給付金』が給付されましたが、これは非課税なので確定申告は不要です。しかし、経済支援策として中小企業や個人事業主に給付された『持続化給付金』や『家賃支援給付金』は事業所得として申告する必要があります。また、サラリーマンでもコロナ関連の医療費などについては控除が受けられるものもあり、心当たりがある場合は税務署等で相談することをお勧めしますね」(ファイナンシャルプランナー)

 たとえば、コロナで入院した場合、食事代を含め医療費は原則、全額公費負担になる。だが、PCR検査については行政の指示による場合は原則無料だが、自発的に病院を訪ねた場合は自己負担となるため、そこでかかった費用は医療費控除の対象になるケースもある。

「医療費控除というのは1年間に支払った医療費が10万円以上か、あるいは年間の総所得が200万円未満で課税所得の5%を超える場合、申告すれば税の還付が受けられるというもの。しかも、コロナ禍で通院が難しいという人もいるので、そんな人がオンライン診療を受けた場合も費用は医療費として申告できます。さらに、たとえばオンライン診療を受けるためにスマホを購入したとすれば、その費用も医療費として申告できる可能性があるんです」(前出・ファイナンシャルプランナー)

 ならば、マスクやフェースシールド、消毒液などの購入費用も医療費扱いになるのか。

「残念ながら、答えはNOです。というのも『予防』のための支出は医療費控除の対象外のため、医療費としては認められません。ただ、外出自粛でまとめ買いした常備薬などは申告できる可能性があるので、薬局やドラッグストアなどのレシートは保管しておくといいでしょう」(前出・ファイナンシャルプランナー)

 さらに、政府の自粛要請を受けて中止した文化芸術、スポーツイベントなどのチケット代のうち、払い戻しを受けなかった分は確定申告で取り戻せることも知っておきたい。

「方法は簡単で、払い戻しを受けない旨を主催者側に申請すると、必要書類が送られてくるので、それを確定申告の際に添えて提出するだけ。これでチケット代は『寄付』とみなされ、控除を受けられることになります」

 寄付金控除は、チケット代から2000円を引いた額の40%なので、2万円分のチケットなら7200円が所得から控除されることにある。さらに、昨年は休業や雇止めなどで収入が激減した人も少なくないだろう。そんな場合はこんな裏技もある。

「コロナによって収入が減少し年収150万円以下になってしまい、共働きの妻のほうが年収を上回ってしまった。そんな場合は、いままで妻を対象にしていた『配偶者特別控除』を自分に変え、妻の所得から38万円の控除が受けるという方法もあります。『配偶者特別控除』は、年収150万円以下なら控除額は38万円で、150万円を超えると段階的に額が減り、201万6000円以上で0円になります。なので、昨年の途中から収入が減少してしまったという場合は、自分が対象になるかどうかを確認することから始めてほしいですね」(前出・ファイナンシャルプランナー)

 コロナ関連で例年以上にややこしくなることが予想される確定申告だが、知恵を絞れば払い過ぎたお金を取り戻せるチャンスもある。損をしないよう、申告書の作成に臨みたいものだ。

(灯倫太郎)

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