「財布見せて」「領収書ないとダメ」体験者が明かす税務調査の不公平感

 いよいよ3月15日に所得税の確定申告の提出期限を迎える。国税庁の公式Ⅹ(旧Twitter)は3月4日に「確定申告がまだの方はお早めに!」と呼びかけたが、この投稿にネットユーザーの批判が殺到。リプ欄には「納税するつもりはございません」と字幕が付いた安倍派の塩谷立元文科相の顔写真がアップされ、《裏金の申告はここですか?》《脱税議員が捕まるまで拒否します》といった怒りのコメントが寄せられている。もしも政治家にならって「使途不明」「領収書ナシ」で申告した場合、どうなるのか。

「今となっては怒りしかありません。もしもあの時に戻れるなら、『政治家はどうなんだよ』と言い返してやりたい」

 怒りをにじませながら税務調査の“不公平”を訴えるのは、都内でフリーランスのデザイナーとして活動するA氏。数年前に税務調査を受けた際のことをこう振り返る。

「ある日、税務署から電話がかかってきて、そこからは問答無用。自宅に押しかけてきて、『仕事場見せて』『領収書出して』と迫ってきた。高圧的な態度で『財布見せて』と言われた時は驚きましたけど、素直に財布を出しましたよ。そんなに大金は入っていませんでしたけど、たぶん、ふだん使っている銀行のキャッシュカードを確認したかったのかもしれません」

 調査はA氏の自宅兼仕事場で3日間にわたって行われた。A氏は家賃の約2割を「事務所経費」として計上していたため、実際の仕事ぶりをチェックするのも調査の一環と説明を受けた。その間、調査官の男性は小さな折り畳み式のテーブルの上で帳簿を見ては「これの領収書は? ないとダメだよ」「証拠は?」「メモでもある?」と質問を浴びせてきたという。

「朝から晩まで仕事場に居座られたから仕事になりませんでしたよ。まさか売上500万円程度の自分のところに調査が入るとは思っていなかったので、領収書の管理もずさんで半分以上は見つからず、領収書ナシの経費については認められませんでした。結局、そう安くはない額を追加で納税する羽目に…。その時は素直に自分の非を認めて修正しましたけど、今だったら、『政治パーティーに10万円使いました』とか言って、もっとしつこく食い下がっていたんじゃないかと思います」(A氏)

 自民党派閥の政治パーティーをめぐってウン千万円という単位の裏金が発覚したことで、逆風が吹き荒れる確定申告。納税意識に冷や水を浴びせた裏金議員の罪は重い。

マネー