先日、テレビ東京の報道キャスターがマスク着用で放送に臨んだことが話題になったが、緊急事態宣言発令中の今、舞台裏では「不穏因子」の暗躍が見え隠れしていた。日本中が欲する「ワクチン」を巡る闇攻防とは?
「中国『闇』ワクチン 日本へ 企業経営者18人ら接種」
なんともショッキングな見出しが「毎日新聞」の一面をデカデカと飾ったのは、今年1月1日、元日のことだった。
1月8日以降、11都府県が緊急事態宣言下にあり、1日あたりの新規感染者は高止まりし、死者数の更新にも歯止めがきかない現在、新型コロナのワクチンは、全国民にとって希望の光にほかならない。
しかし、ワクチン接種の総合調整を担う河野太郎行政改革相(58)は22日の会見で「2月下旬から、医療従事者から接種を開始できるよう準備をしたい」と言うにとどめ、一般国民へのスケジュールは未定のままだ。
医療情報に詳しいライターが話す。
「毎日新聞の記事では、中国共産党幹部が自国のワクチンを日本に浸透させるため、有力者をターゲットに仕掛けた『ワクチン外交』の可能性を示唆していた。記事中で言及されているのは大手製薬会社『シノファーム社』のワクチンで、中国では昨年12月に条件付き承認されたもの。日本は未承認で、導入の予定もありません」
それでも中国は来る正式導入に向けて、政財界に影響力のある大物にひそかに提供、自国ワクチンの認知を広げて拒否感をなくそうという思惑のようだ。
そんなものが国内に闇流入しているとなれば大ごとだが、これは中国にとって至極、当たり前の戦略だという。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「中国の外交では、自国にリソースがない後進国や途上国に押しかけて、安く物や恩を売り、その国の天然資源を優先的に入手したり、国際的な存在感をアピールするという手法が多くとられます。ワクチンについても、欧米の大手製薬会社からは確保できない国に目をつけ、外交ツールとして利用しているのです」
昨春の感染爆発の際にも中国が「マスク外交」を海外に仕掛けたことは知られるところ。振り返って日本は明らかな「ワクチン後進国」であることは否めない。
「ファイザー社」(ビオンテック社と共同開発)、「モデルナ社」「アストラゼネカ社」から計3億回分以上のワクチン輸入を取り付けているものの、国産ワクチンは早くて秋以降と、後れを取っているのが実情だ。
しかも、これから日本で接種されようとしているワクチンの副反応や効力維持についても、いまだ正確なところがわかっていない。となれば不安にかられ、目の前の未承認ワクチンに飛びついてしまう国民が出ても不思議ではない。前出の山田氏は言う。
「世界を見ても、権力者や富裕層が自身のコネクションを通じて一般よりも早い段階でワクチン接種を受けるケースはよく見られます。水面下の打診、という点では、ロシアの製薬会社が日本の製薬会社に接触し、ワクチンの提供を持ちかけてもいたようですから、中国が似たような動きをしたとしてもおかしくない。ただ、私が問題だと思うのは、中国産ワクチンの安全性があまりにも低いと思われる点なのです」
中国産ワクチンを使用、承認、あるいは導入の検討を行っていると表明する国は、すでに1億2500万回分を確保するインドネシアを筆頭に、少なくとも18カ国以上に達している。その中の一つ、ブラジルで行った有効率の再計算で驚くべき数値が記録された。
「サンパウロ州の研究所がWHOの基準に沿って中国シノバック社製ワクチンの臨床試験を行ったところ、中国側が当初発表していた有効率78%を大幅に下回る50.38%にとどまった。はなはだしい下方修正ですが、WHOが定める基準(50%)を満たしているとして、すでにブラジルではワクチンの接種が開始されています」(北京駐在記者)
中国は感染爆発の発端となった武漢市について、また、その後の対応を巡っても事実と異なる発表を行い、国家としての隠蔽体質が露見した。そもそも公的な報告やデータへの国際的な信用度が著しく低い国だが、それでも各国がワクチン使用に至らざるをえない理由がある。
「ワクチンを調達できず、バッシングを受けるのは政府です。デタラメな有効率であっても、国民を満足させるためには買うしかない。中国のワクチン開発はそれを見越したうえで、安全度を度外視してスピード重視、さらに欧米製よりも安く『マイナス70度で保存』といった徹底管理を求めない、取り扱いやすいものに終始しています。効果については、導入国も『安いからしょうがない』と諦めている部分もあります」(山田氏)
とはいえ、人命がかかっているだけに、安全性は大問題。実際、中国国内の医師からも批判が噴出しているという。
「上海在住の著名な医師が自身のSNSでシノファーム社のワクチンについて『73種類もの副反応がある、世界で最も安全でないワクチン』と名指しで批判。副反応は視覚や聴覚、味覚、あるいは泌尿器にまで及ぶと言いますが、中国はネット規制が厳しく、この投稿は2、3時間後には削除されてしまいました」(山田氏)
まさに中国産ワクチンの劇毒危険度はMAX。現時点で日本への導入は検討されていないものの、闇ルートでの流入が続けば、悲劇的な「二次災害」が起こっても不思議ではないのだ。