富士の樹海や特殊清掃の現場など、潜入ルポを得意とするライター兼イラストレーターの村田らむ氏。その取材範囲は韓国ソウルに及び、日本人観光客が滅多に足を踏み入れない性のミュージアムへ…。日本よりも過激な展示内容とは?
日本では温泉街によくある「秘宝館」は絶滅寸前だが、韓国の類似施設「性のミュージアム」は人気の観光スポットになっている。そもそも韓国では性表現に関しては日本よりもだいぶ厳しく、「秘宝館」もハネムーン客がよく訪れる済州島(チェジュ島)くらいにしかなかったのだが、近年規制が徐々にゆるんで全国にできているという。
韓国ソウルのホンデに近年できた「ラブミュージアム」に足を運んでみた。
施設の入り口にはいきなり股部分を固くしているスーパーマンの像が置いてあった。大人の入場料(約800円)を払ってすぐ出迎えてくれたのは、女性のバストに挟まれている超人ハルクだ。窓からマッパの女性を盗み見るスパイダーマンに、ヒップをむき出しにされているリトルマーメイドのアリエルも展示されていた。いずれもパクリの範疇を超えて、キャラクターそのものズバリ。おそらく許可は取ってないだろう。この著作権に厳しい時代になかなか勇気のある展示だ。
日本の秘宝館はなんとなくジメッとしたお化け屋敷のような雰囲気が漂うが、韓国の施設は全体的にカラッとしていた。顔出しパネルに代表されるように、一緒に写真を撮ることを前提とした展示が多かった。
会場には、インスタ映え、ツイッター映えを狙った女性がたくさん訪れていた。男女のペアより、女子だけで来ている人が多かった。3〜4人の若い女性のグループでキャッキャしながら、写真撮影や配信に興じている。
その女性客たちは、丸太のように大きい男性の“イチモツ”に座って写真を撮ったり、温泉で男女がからみ合うだまし絵ステージの真ん中で寝転がったりと、なかなか満喫している。冷静に見ると、かなりキワドイ行為だ。わざわざ日本人女性が訪れることも多いそうだ。
中には性のテーマから脱線したような、おバカな作品もたくさんあった。
【ゴッホと一緒に排尿ができる顔ハメパネル】
【分娩室で女性の出産の出口から顔を出す顔ハメパネル】
【擬人化されたナス、バナナ、ホットドッグが先端部を突き出して笑っている像】
【イチモツをカチカチにしたマッパのオジサンの形をした便器】
などなど、まったく興奮対象とならない展示物を前に、思わず吹き出してしまった。
このミュージアムがあるホンデは、日本でいうところの原宿のような若者の街だ。ブティックやカフェ、占いの館などいろいろなお店が並んでいる。コロナが終息したら、観光ついでに遊びに行ってほしい。
(写真・文/村田らむ)