桑田真澄「異例のコーチ就任」舞台裏と東大生も虜にした“野球教室”の中身

 桑田真澄氏の「巨人帰還」の影には、原辰徳監督の説得があった。巨人の投手チーフコーチ補佐に就任した桑田氏による、故・野村克也氏も顔負けの“ロングミーティング”が繰り広げられそうだ。

「原監督は昨年末、まず、宮本知和投手チーフコーチに『桑田入閣』の相談をしました。宮本コーチの賛同を得て、12月28日の仕事納めの日に山口寿一オーナーに提案し、年明けの5日に桑田へ連絡を入れました」(ベテラン記者)

 桑田コーチの帰還は15年ぶり。早大大学院でスポーツ科学を学ぶなど、他のプロ野球OBとはちょっと異なる活動をしていたせいもあるが、指導者としての現場復帰は遅すぎたくらいだろう。

「1月半ばになってのコーチの補充は異例です。原監督の提案が、オーナーも納得する内容だったんでしょう。でなければ、この時期のコーチ入閣はあり得ません」(前出・ベテラン記者)

 原監督がオーナーを納得させた「桑田必要論」とは…。桑田氏が就任会見で語っていた「テクノロジーの進化」なる言葉に、その理由のひとつがあった。

 桑田コーチは「自分が投げていたフォームをすぐにコマ送りで見られる」とハイテク機器を使っての指導法も語っていた。そのことを指して、こんな情報も聞かれた。

「現在も東大大学院総合文化研究科に在籍しています。投球フォーム、打撃フォームの研究、動作解析などを続けているんです」(関係者)

 東京大学野球部の特別コーチを務めた2年間(2013年〜)、桑田氏はグラウンドでの指導だけでなく座学も行っていた。パソコンのパワーポイントで資料を作り、正しい体の動かし方を教えていた。その座学は2時間にも及ぶときもあったが、野球部員のハートを鷲掴みにし、卒業生までが「桑田サンの座学がある日は」と、野球部に通いつめたほど。また、その“野球教室”の虜となって、桑田氏が研究員として籍を置く大学院の総合文化研究科に進んだ東大球児もいた。

「今度はその座学を巨人選手に聞かせる予定だそうです。90年代のヤクルトが野村克也氏のミーティングで強くなったのを、原監督はイメージしているようです」(前出・関係者)

 映像を取り入れた練習は、すでにソフトバンクでは定着している。また、工藤公康監督や千葉ロッテの吉井理人コーチも大学で投球フォームの動作解析を学んでいる。

「桑田教室」は、早ければ今春キャンプから始まるそうだ。一軍コーチとして、二軍スタッフとのパイプ役も任されるため、座学は「来春から」との声も聞かれたが、原監督は野村IDを超える“桑田学校”でチーム改革を始めようとしている。

(スポーツライター・飯山満)

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