去年の競馬界は無敗の3冠馬コントレイルとデアリングタクト、そして女王アーモンドアイがターフを彩った。いまだコロナの終息は見えない状況だが、今年は若手ジョッキーがターフを沸かせてくれそうだ。
3月1日、このまま順調に進めば、2人の女性騎手がデビューを飾る。栗東・矢作厩舎所属の古川奈穂(20)と、高橋康厩舎所属の永島まなみ(18)である。スポーツ紙記者が解説する。
「古川は留年したためデビューが1年遅れましたが、一昨年の有馬記念馬のリスグラシューに帯同したり、厩舎実習でオープン馬の背中を知るなど成長が著しい。技術もどんどん伸びています。一方、地方競馬の調教師を父に持つ永島は、すぐに厩舎の環境にも慣れて、いい準備ができている印象。高橋師はジョッキー出身だし、何よりも女性スタッフが他厩舎より多いので、笑顔が絶えません」
そんな2人のデビューを心待ちにしていたのが、今年で6年目となる藤田菜七子(23)だ。
「所属先の根本調教師は『菜七子フィーバーなんて、(女性の)後輩がデビューするまでだから』と、よく声をかけていた。本人もこれまでは単勝が売れまくる『菜七子オッズ』に戸惑いを見せていましたが、今年はよけいなプレッシャーから解放されて、もっと楽に騎乗できるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
昨年はJRA通算100勝を達成し、5週連続勝利をあげるなど、東のトップ10入りを争う活躍をみせた。厩舎関係者も騎乗ぶりの進化に舌を巻く。
「スタートのうまさだけでなく、体幹が鍛えられてフォームが安定してきた。まだムチの持ち替えや大型のダート馬を追い切れないなどの課題はあるけど、芝であれば好騎乗も目立つ。12月20日の中京7Rと8Rで人気薄を3、2着に持ってきたようにね。新潟千直だけじゃなく、広いコースの芝戦など、得意のカテゴリーも増えている。今年は覚醒してもおかしくない」
飛躍の予感は二世騎手の横山武史(22)と岩田望来(20)からも漂っている。
「昨年、東のリーディング争いを演じた武史は、一皮剥けたね。9月の丹頂Sでは、武豊から乗り替わったボスジラを勝利に導き、同レースで5着だった父が騎乗したウラヌスチャームを10月の新潟牝馬SでV。しかも、誰もが外を回る重馬場の中、内を突いて7馬身差の圧勝だった。エリザベス女王杯の切符がかかっていたから、オーナーやスタッフは度胸のよさに感心していた」(前出・厩舎関係者)
天才と称される父・横山典弘(52)を彷彿させる大胆な騎乗ぶりは、関係者の間でも好評価で、
「ボスジラの金子オーナーや国枝師の信頼を得て、最近では『武史空いてる?』じゃなくて『武史で』と、指名をもらえるほど。以前、典さんが『俺に似ている』と話していたことを思い出しました。今年はオークス2着、エリザベス女王杯4着のウインマリリンとのコンビで、初GⅠ制覇があるかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
西の藤原英厩舎所属の岩田は、12月にJRA通算100勝を達成した。
「3年目の今年は年間100勝も夢じゃない。藤原師が追い切り後の角馬場で騎乗指導を続けているし、1年目からGⅠ戦に騎乗させているようにバックアップも万全。昨年暮れの朝日杯FSのロードマックス(11番人気6着)も好騎乗と言えるでしょう。NHKマイルCが今から楽しみです」(前出・スポーツ紙記者)
今年は東西の二世騎手がGⅠ戦で大暴れしそうだ。
※「週刊アサヒ芸能」1月14日号より