1月5日、東京・豊洲市場で初競りが行われ、毎年メディアでも大きな話題となる“一番マグロ”は青森県大間産の本マグロが2084万円で競り落とされた。昨年の一番マグロの価格からは約10分の1の大幅ダウンとなったが、果たしてその原因とは…。
「20年は1億9320万円、19年は3億3360万円で競り落とされていたので、今年の価格に物足りなさを感じた方も多いのではないでしょうか。しかも競り落としたのが『すしざんまい』を運営するつきじ喜代村ではなく、仲卸の『やま幸』だったことも意外でした」(社会部記者)
つきじ喜代村は名物社長の木村清氏が毎年初競りに参加し、これまでに3度、1億円超えで一番マグロを競り落としていたが、今年は「自粛モードなので派手にやるのはいかがかと思った」と木村社長。昨年は「すしざんまい築地本店」に一番マグロを求めて200人近い人が行列を作ったため、新型コロナウイルスの第3波が到来し、緊急事態宣言の発出が迫った中での初競りだっただけに、最高値を付けるのは控えたようだ。
「ただし今回の2084万円は安いと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。2000年代に入って一番マグロが1000万円を超えたのはおよそ半分の11回で、今年のものはここ20年で8番目に高い落札額となります。200キロ程度のマグロであれば300万円〜400万円程度が通常価格となりますし、いくらご祝儀価格といっても2年連続での1億円超え自体がむしろ異常だったと言えるでしょう」(市場関係者)
また、落札額の高騰にはこんな指摘もある。
「一番マグロを釣り上げると漁師にも落札価格からの配分があるため、特に大間の漁師は壮絶なバトルを繰り広げていますが、実は1億円超えの落札に対して仲卸業者の中には『過剰な価格競争が市場の均衡を崩すのではないか』と懸念する声もある。今年はある程度価格が落ち着いたということで、今後の一番マグロの落札価格を見直すいいタイミングになったのではないでしょうか」(前出・市場関係者)
来年の一番マグロにはどんな価格がつくのだろうか?
(小林洋三)