東京五輪・女子マラソンの代表3枠を掛けた争いが“別の理由”で熾烈を極めそうだ。
五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」への出場権をかけて争われた名古屋ウィメンズマラソンにて、すでにMGC出場権を有する岩出玲亜(アンダーアーマー)が2時間23分52秒の自己新記録で日本人トップの5位に入った。
あくる日、取材を受けた岩井から、驚きの事実が明かされた。なんでも大会前に岩井は、所属するドームの社長に「日本新を出せば1億円のボーナス」をおねだりし、快諾してもらったというのだ。
ご承知のように、日本記録を更新した場合、日本実業団陸上連合から報奨金として1億円が支払われる。仮に、今後岩井が、2005年にベルリン五輪で記録した野口みずきの2時間19分12秒を上回ることがあれば、あわせて2億円を手にし、一気に億万長者になることになる。
岩出はまだ24歳と若い。陸上関係者によれば、早くから将来を嘱望されていたが、一昨年、昨年と故障が続き、国際大会など大きなレースでの出場は見送られてきた。昨年3月の名古屋大会は「試運転」だったが、2時間26分28秒でゴールインし、あっさり、陸連が定める基準を超えてしまった。同レースでは日本人2位、万全だったらどこまで伸ばせたかと、ポテンシャルの高さを見せつけていた。
「ただ、岩井の1億円発言にカチンときた他の選手もいたようです。ほとんどの選手は実業団に所属していても金銭的に厳しく、派遣社員ほどの給料しかもらっていないケースが多い。岩出が所属する企業はアンダーアーマーの日本総代理店というメジャー企業ですからね。10代のころ大きな大会での優勝経験がないのに有名企業の所属となれたのは、その将来性と可愛らしいルックスを見込まれたからだと思われます」(体協詰め記者)
今回の1億円発言で「岩出だけには負けたくない」と意気込むトップ女子選手もいるようで、どうかそのエネルギーをレースで発揮してもらいたいものである。
(スポーツライター・飯山満)