もはや東京五輪ではない?「マラソン&競歩」札幌開催案に意外な支持

 10月16日、国際オリンピック委員会(IOC)は東京五輪のマラソンと競歩について、暑さ対策で開催地を東京から札幌に変更することを検討すると発表した。大会まですでに10カ月を切るなか、マラソンと競歩のチケットも販売済みという状況での急転直下の札幌開催検討に関係者の間では困惑の声が広がっているが、ネット上では札幌案を支持する声も少なくない。
 
「IOCが今回の検討を発表した背景には、9月末から10月初めにかけてカタールで開催された『ドーハ世界陸上』での批判があると思われます。同大会では暑さ対策のためマラソンと競歩を深夜に開催したのですが、女子マラソンでは68人中28人が途中棄権して完走者が60%を割り込み、男子50キロ競歩も完歩率は61%になるなど完走率は過去最低となりました。中にはレース後数日たっても体調不良を訴える選手もいたといい、選手やスタッフからはクレームが相次いだんです」(運動部記者)

 マラソンと競歩の札幌開催案に小池百合子都知事は、「(今回の案は)唐突な形で発表された」と不快感を露わにしていたが、ネット上では意外にも《選手のことを考えれば札幌開催は賛成》《札幌は朝夕なら東京より随分まし》《選手ファーストなら屋外競技はすべて札幌にするべき》、さらには《もはや東京五輪ではない》などの声まで上がっている。
 
「札幌も8月には30℃超えの日がありますが、今年の8月25日に札幌で開催された『北海道マラソン2019』では、スタートの午前9時の気温は20℃を下回っており、選手の安全面を考えるのであれば東京よりは札幌の方の方がより良いと言えるでしょう。ただ、すでにチケットは販売されていますし、コースの舗装なども行われている。当初7000億円と想定されていた東京五輪の開催費用は3兆を超えるとみられており、マラソンや競歩を札幌で開催するとして、その費用はどこが出すのか。この今にして、問題は山積みです」(スポーツジャーナリスト)

 こうなってくると、「東京五輪」と呼べるのかも怪しくなる?

(小林洋三)

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