波乱の予感!マラソン五輪代表「ラストチャンス」が男女同日開催

 東京オリンピックの本番にビミョ~な影響を与えそうである。

 五輪イヤーの来年、名古屋ウィメンズとびわ湖毎日の両マラソンの日程が、3月8日の同日開催となった。名古屋は女子、びわ湖は男子と明確な棲み分けがなされているものの、五輪代表を目指す選手にとっては「やりにくい」のひと言に尽きるのだそうだ。

「選手の所属先は男女両方の選手を抱えているところが多いので、コーチやトレーナーが選手に付きっ切りになれません。五輪代表を決める最終レースでもあるので、選手はラストチャンスをものにして、五輪代表の座を決めたいところですが」(体育協会詰め記者)

 マラソンの五輪代表選考方法は以前とはガラリと変わった。これまでは複数の選考レースの結果から“総合的な判断”で選ばれていたが、今回はよりフェアな形で、9月15日に行われる「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」の一発勝負で男女各2枠が決定されることになる。MGCに出るためにはMGCシリーズと呼ばれる国内主要大会か、ワイルドカードと言われる国際陸連公認大会で一定の成績を残さなければならない。そして、このMGCでの優勝者と2位or3位の2枠が一発選考で代表決定となるのだ。

 だが、残り1枠は19年冬から20年に春に行われる「MGCファイナルチャレンジ」と称されるレースで決められる。男子は福岡国際、東京、びわ湖毎日、女子はさいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズである。こうしてみると、最後の1席はやはり来年3月8日に同日開催される名古屋ウィメンズとびわ湖毎日の両マラソンまで決まらない可能性のほうが高い。

 ほかにも同日開催ゆえのデメリットがあるという。

「マラソンに詳しい陸連スタッフが名古屋と大津に分かれるので、レース中の選手の様子、コース適性、五輪本番でタイムが伸びそうかどうかなど、選手の見極めが難しくなりそうです」(関係者)

 ちなみに、びわ湖毎日には、箱根駅伝を終えた大学生が腕試しで挑戦することも多い。五輪一本で絞って調整してきた選手が敗れるようなことになったら、一大事だ。

 マラソンの選手選考の完全適正化は、まだまた先になりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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