昨年7月の参議院選挙で広島の県議会議員や市議会議員、さらには後援会関係者に多額の現金をバラまいたとして公職選挙法違反に問われている河井克行元法相。その公判が12月9日に行われ、検察側は青原敏治・元安芸高田市議が河井被告から10万円の受領を認めたとの供述を明らかにした。その供述内容を巡って意外な声が出ているという。
検察によると青原元市議は、自宅を訪れた河井被告から現金10万円入りの封筒を受領。その現金について「葛藤や罪悪感もあったが、ありがたい、ラッキーという気持ちもあった」との思いを供述。使い道については「パチンコが大好きだが妻がパチンコ代をくれないので、10万円を自分の財布に入れてほぼ全額をパチンコ代に使い果たした」と告白したという。この供述内容に世間が示した反応はどんなものだったのか。
「多くの市民は《これは酷い》《とんでもないバカ》《こんな議員はいらない》と糾弾の声をあげています。そんな至極真っ当な批判の一方で、金銭の受領はもちろん悪いものの、人としてはなぜか好感が持てるといった感想もあるようです。なかでも『妻がパチンコ代をくれない』という供述の素直さに、我が身を重ねているオジサン世代の郷愁と共感を誘っているようです」(週刊誌記者)
しかし青原元市議は1992年に旧・八千代町議になり、2004年の合併で新設された安芸高田市の市議になったという議員歴28年の古参議員。これまでたんまりと議員報酬をもらっていたはずだが、それでパチンコ代に事欠くものなのだろうか?
「安芸高田市の議員報酬は月額32万5000円で、他に政務活動費が月額3万円支給されるものの、国会議員や大都市の地方議員に比べるとかなり少なめとなっています。地方議会では報酬の安さから成り手が少ない自治体も珍しくなく、NHKのウェブサイト『政治マガジン』では2019年3月27日の記事にて《議員報酬では、家族を養えないので、妻が専業主婦から働くようになった》との言葉を紹介しているほど。青原元市議も妻に財布のひもを締められ、大好きなパチンコ代にも事欠くのは本当だったのかもしれません」(前出・週刊誌記者)
もちろん市議会議員として河井被告から賄賂をもらうことは法的にも道義的にも許されることではない。だが小遣いにも事欠く高齢者男性のペーソスが伝わるとして、身につまされる市民もいたようだ。
(北野大知)