ANAが排ガスを航空燃料にするという。12月2日、東芝や出光興産などを含めた6社で、排ガスを燃料に再生させるビジネスを行う計画を発表した。具体的には、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を使い、排ガスをSAF(サスティナブル・アヴィエイション・フューエル)という持続可能な航空燃料に再利用するというものだ。
「ANAでは今年7月に、飛行機を飛ばす時に発生するCO2の総排出量を2050年までに05年の776万トンから半減させるとしました。コロナ禍の航空需要激減で危機にある同社ですが、ポスト・コロナ時代を見据えて、中長期的に必要な環境への対応を図ろうとの意図です。ANAはすでに11月にSAFで飛行機を飛ばしています」(経済ジャーナリスト)
さらに同社は11月26日にも、食品などに使われた廃棄油を原料とする燃料を23年から調達するとしていて、いまやジェットも排ガスや廃棄油で飛ばす時代になりつつある。
カーボンニュートラルやサスティナビリティ(CSR)は今やビジネスの世界では必須。環境負荷を減らす政策を進めないともはや生き残れなくなるご時世だからなのだが、あらゆるムダの削減が模索される一方、66年もの歴史を誇るあるものが同時に消えることになった。紙の時刻表だ。
ANAではこの12月1日から来年1月31日までの便の掲載分で今後は制作を止め、来年2月からは多言語に対応したオンラインの時刻表のみにするのだという。これもCO2排出量削減の一手とも受け取れるが…。
なにしろ66年も昔の話なので、最初はペラ1枚でのスタートだった。その後、2つ折り、3つ折りとページ数を増やして冊子となった。そして最終号となる「12月1日〜1月31日」の号は堂々の66ページ。もちろんページのほとんどは無機質な時刻表が載っているだけだが、機種欄には飛行機別のコード番号が記載され、どんな飛行機が採用されているかがわかる。古いものと比べてみれば、その移り変わりを示す資料にもなる。また、3ページ目には、長い旅のスキマ時間を楽しく埋めて欲しいとの配慮だろう、数字を組み合わせるパズルの「数独」が載っていて気がきいている。
「鉄オタが時刻表を読むのを好んだり、鉄道グッズを集めたりするように、飛行機マニアでも時刻表を読んで架空の路線を引いて楽しむ人がいます。グッズとしても歴史を表すものなので集めている人もいてオークションサイトやアプリでも多数出品されています」(週刊誌記者)
紙の時刻表の制作終了は、ファンには悲報だが、コレクションの価値は今後高まっていく一方かもしれない。
(猫間滋)