入り口わずか50センチ!「日本一狭い駅そば屋」が“定員1名”になったワケ

 列車の待ち時間などにサッと食べられる手軽さからサラリーマンや学生をはじめ、旅行者にも人気の駅の立ち食いそば。カウンターのみの店舗や座って食べられるテーブル席を用意している店などさまざまだが、小規模なスペースながら一度に複数の人が利用可能だ。

 しかし、なかには定員がたった1名という駅そば屋も存在する。JR塩尻駅(長野県塩尻市)構内にある「そば処 桔梗」だ。

 改札を入った先の1・2番ホームに下りる階段の正面にあるのだが、店の入り口が信じられないほど狭い。試しに測ってみたところ、その幅なんと50センチ。大柄な方やふくよかな体型の方は恐らく入ることすら叶わないだろう。ハッキリと店側が明文化しているわけではないが、そんな厳しすぎる入店条件のある店なのだ。

 以前は定員2名だったが、新型コロナの影響で密になるのを防ぐために現在は1名に。つまり、事実上の貸し切り状態というわけだ。

 ただし、こちらのお店は改札手前の駅待合室の中にもあり、厨房を挟んでカウンターが2つある構造になっている。でも、待合室側のほうは普通の駅そば屋っぽい構えなのに、なぜ改札内側だけ極小スペースなのか? 実は、これにはちゃんとした理由がある。

 以前は改札内にある店もごく普通の広さの駅そば屋だったが、2002年に改札階を結ぶエレベーターを設置したことでカウンターのスペースが大きく削られてしまったのだ。

 それでも改札内側のカウンターをよく残したと思うが、結果的にこれが大成功。“日本一入口の狭い立ち食いそば屋”として鉄道ファンや観光客が訪れるようになる。

 ちなみに入り口の脇には「信州そば」との案内板が出ており、「安曇野葉わさびそば」(460円)や「野沢菜わさび昆布そば」(430円)といったご当地感のあるメニューもある。

 定員の都合で友人や家族、恋人と一緒に食べることはできないが、追加料金を取られることなく個室気分が味わえるのはとても面白い。きっと旅先の楽しい思い出になるはずだ。

(高島昌俊)

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